行動した結果というものは、大きな財産である。
行動した結果から自分が透けて見えてくる。俺またこんなことやってるよ!と思ったことがある人も多いのではないだろうか?その繰り返しの中で、自分はどんな人間なのかが見えてくるのだ。そして、自分がどう変化しているのかも多くの場合は、行動の結果から見えてくるものだ。お、良くなってる!ちょっと前ならすぐに判断出来なかったことができるようになっている!そのような自分の変化に人間は幸せを感じるのだと思う。行動すればするほど、フィードバックを得ることが出来る。さらに言えば、同じ行動ではなく、異なる行動を沢山することで多種多様なフィードバックを得ることが出来るということでもある。
同じ行動の結果は、いつも同じである。時には違うことはあるかもしれないが、基本は同じだ。しかし、異なる行動に対する反応は、いつもとは違うはずだ。その反応の違いが人生を豊かにするのだ。毎日変化に富み、人生が面白いと思えるのは、色々な行動をしているからである。
「データの見えざる手」の著書である矢野和夫氏は、こう言っている。「行動を起こした結果、成功したかが重要なのではない。行動を起こすこと自体が、人の幸せなのである。」新しい行動は、退屈な人生から脱却させ人間として成長させるのだ。
一方で、色々なことが起き過ぎると人は、何もかもを遮断したくなるものだ。情報を遮断し、友人を遮断し、コミュニケーションのすべてを遮断することで自分自身を守ろうとする。それは、あまりにも自分自身に対してフィードバックされるモノゴトが辛いことばかりだからだ。布団に入りずっとこのままで居たくなるのは、心が疲れているからだ。
しかし、そのようなときでさえ、疲れ切った心を元気にしてくれるのも行動である。好きな本を読むこと、ランニングをしてみること、筋トレをしてみること、友人とおしゃべりしてみること、旅行すること。自分が気持ちいいと思える行動というものは、誰もが持っているものだ。それをしていると気づいたら元気になっている。そのような経験は誰でも持っているだろう。
行動にもいろいろある。辛いフィードバックをもらい続けることにつながる行動もあれば、自分自身を癒し、元気にさせる行動もある。上述した矢野和夫氏は、幸福度が高い人の行動は、一定ではなくバリエーションに富んでいるという。また、人を幸せにする人の行動もパターン化しておらず常に変化しているという。毎日毎日同じ行動を繰り返すかと思えばそうでもないらしい。
「常に変化し続けること」にヒントがあるような気がしてならない。ダーウィンは、強さではなく環境への適応力が生き残るための大切な要素だと言った。また、マーケティングは、時代の変化に適応することが大切だという。顧客の変化を捉え、自らを変化させていくことが大切だという。何十年も生き残ってきた企業は、変化を恐れないという。
多くのストレスを抱えている人間や調子の悪い企業というのは、どこか一定パターンであったり、同じような行動しか出来なかったり、同じようなフィードバックばかりを受け続けていることが原因なのではないだろうか。人間も企業も、より良くなるためには、あなたや企業の中にある「〇〇ばかり」という部分に問題があると考えるべきなのかもしれない。自分自身の行動をバリエーション豊かにする努力、従業員の行動をパターン化させたり、同じ行動を繰り返させるのではなく、様々な行動を促す努力が、多くの問題を解決することが出来るのかもしれない。