マーケティングの仕事は消費者の「軸・フィルター・思考枠」の観察と新しい発見である。

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子供が2人いる4人家族の家で「部屋が散らかっている」状態を皆さんはどう思うだろうか?

両親がいい加減なのか?生活が乱れている?子供のしつけがなっていない?などなど色んな意見があるだろう。

「部屋が散らかっている」状態は隣の家の主婦から見ると「家事をしていない」とネガティブな判断をするかもしれない。これは、「主婦はキチンと家事をすべき」「主婦はいつも家族が気持ちよく過ごせるようにするべき」という思考枠がアクティブになっているからであり、その軸・フィルター・思考枠を通して物事を判断するから「家事をしていない」ということになる。

しかし、「部屋が散らかっている」状態を「子供が活発で元気」と判断することも可能だ。この判断は、「子供が元気なことは良いこと」という軸・フィルター・思考枠が最優先でアクティブになっているからこその判断である。

このように殆どの人は、物事を判断するときに何らかの「軸・フィルター・思考枠」を通して判断する。この消費者の中の「軸・フィルター・思考枠」は対象によっても変化するが、時代の流れや季節によっても変化する。それまで強力であった「軸・フィルター・思考枠」が弱くなり、異なるこれまでになかった「軸・フィルター・思考枠」が強くなったりする。

例えば、冬のインフルエンザの時期などには「除菌出来たほうが良い」という軸・フィルター・思考枠が強くなるが、春にはその軸・フィルター・思考枠は弱くなる。また、仮に世界的なウィルス感染が大流行したニュースがあったりすれば「除菌できた方が良い」という軸・フィルター・思考枠が強くなる。

主婦が「子供は元気なことが一番大切だ」というテーマの感動ドラマに涙すれば、その時は散らかった部屋を見ても「けしからん主婦だ!」とは思わない。

消費者がどのような「軸・フィルター・思考枠」で自社製品サービスを見ているのかを知ることはマーケティングにおいて重要だ。今、消費者はどんな「軸・フィルター・思考枠」によって物事を自社製品サービスを見ているのかを知らなければ、どうコミュニケーションをすればよいのかという課題に答えることはできないからだ。逆にそれを知っていれば消費者から意図した通りの反応を獲得することが出来る。

また、マーケティング担当者は、自社の製品サービスのターゲットだけを見ていればよいわけではない。幅広く、社会的にどのような傾向にあるのかを知り、自社製品サービスを判断するときにどのような影響があるのかを常に観察しチェックする必要がある。いつどこで消費者の「軸・フィルター・思考枠」が変化するか分からない。そして、大きなマーケティングの成果を出すためには、まだ消費者も認識できていないような「軸・フィルター・思考枠」を見つけ出す必要がある。

軸・フィルター・思考枠の「変化をキャッチすること」と「新しい軸・フィルター・思考枠の発見」はマーケティング上のチャンスである。消費者自身さえ気づいていない軸・フィルター・思考枠が強くなってきているにも関わらず、競合他社は気づかずこれまで通りの施策をしている場合はシェアを奪うチャンスだ。早いタイミングで適切なコミュニケーションをすることで効果が出るはずである。もし、「新しい軸・フィルター・思考枠の発見」が出来たら業界に大きなインパクトを残せるだろう。

マーケティングの仕事の出来不出来は、どれだけ正確に消費者の「軸・フィルター・思考枠」を捉えられるか、その変化にどれだけ敏感になれるか、そして、新しい「軸・フィルター・思考枠」を見つけ出せるか、そしてそのための施策を実行できるかにかかっている。