マーケティング理論を活用する順番を意識しよう。

マーケティング

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マーケティングについて学ぶ人が増えた。マーケティング職種でなくても経営、営業などさまざまな職種においてもマーケティングの知見は役に立つという認識が強くなったことも一因なのかもしれない。また、日本企業の弱点がマーケティングにあると言われていることもあるかもしれない。

実際、マーケティングに関する本は非常によく売れているようだ。本当に多くの人がマーケティングについて勉強するようになった。

しかし、マーケティングを実践している人からすれば、本を読むことは無駄ではないにしても役に立ったと感じられることは少ない。それもそのはずで、マーケティングの教科書に載っているのは、一般化されたものであったり、その企業が置かれた独特の条件下でのみ効果を発揮するようなものだからだ。そのまま自社に適用したところで、有効に効果を発揮することは少ない。そのため、実務家ほど本に書かれていることは、そんなに役に立たないと言うのである。

とは言え、本を読むことは本当に無駄なのだろうか?個人的にはそうとは思わない。もちろん、多くの実務家が言っているように、そのまま理論を適用することは無意味であると思うが、教科書に載っている理論を、自身の考え方を補完するように活用すれば、価値が生まれてくると思うからだ。

より詳細を説明すると、自社のマーケティングを考えるときに理論から入るのではなく、自身で考えることからスタートしようということである。そして、自分の考えをある程度進めてから、自分の考えをより発展させ、自分の考えをより良くさせる理論がないかを探してみるという順番で進めようということである。

なぜ、まず自分自身で考えることから始めるべきなのかと言えば、大きな成果をもたらすマーケティング課題は間違いなく企業特有の性質が絡んでいるからだ。それら特質や制限を把握した上でなければ、根本的な問題解決には至らないことが多い。自社特有の性質に理論を適用することには意味がない。自社特有の課題を解決するには、自社の人間が考えることが必須の条件である。この部分をコンサル企業に任せてしまう企業は良い結果が得られてこなかったのは多くの人が知るところだ。

自社特有の性質を把握せず、いきなり一般的な理論から始めてしまうことは、自社独自の性質を無視することにつながる。課題解決において最も重要な自社の特有性を無視して本当に効果的な解決策を導くことはできない。実際、多くの会社のマーケティング事例を一般に公開されているレベルではなく、詳細に聞くと必ずといってよい程その戦略を採用した理由に自社特有の性質が絡んでいるし、マーケティング理論を適用しただけで、成果が出るようなことはない。

もちろん、一般的な理論を適用することで解決できることもある。しかし、一般的な理論で解決できることは、つまり他社にも共通する一般的な課題であり、自社独自の課題というわけではない。上述したように、マーケティング理論を勉強している人は多いために、ほとんどの場合一般的な理論で解決できることは、他社でも既に同様の考え方で解決していることが多く、大きな価値には繋がりにくいのだ。

そういう意味で、大きな成果に繋げたいのであれば、自社の独自性に注目すべきだし、そのためには理論から始めるのではなく、自身でまず考えるというスタンスが始まりでなければならないのだ。理論は、自身の考え方を補強したり、場合によっては考え方の間違いに気づかせてくれるために活用する程度が最も上手な使い方と言える。

近年、マーケティングを定型的に企業に当てはめようとする記事や考え方をする人がいるが、それは間違いである。全く同じ戦略を実施しても企業が違えば、結果は全然違ってくるように、戦略は企業ごとに異なっていなければならない。だからこそ、理論を自社に当てはめたところで成果が出ないのだ。自社特有の性質とは何か?その性質がどのような課題につながっているのかを発見し、考えることが重要なのである。