マーケティング関連の記事を書いていますが、基本思いつきのメモです。なので、記事を信じないでください(笑)

今必要とされる「スピーディーなマーケティング」は企業全体の変化なしには成し遂げられない。

マーケティングでは、競合他社と同じ視点で製品開発することを良しとしない。
なぜなら、同じような製品を開発したとしても、既に一定の満足を得ている顧客は振り向いてくれないからだ。顧客にとって最初に知覚し、体験した製品というのは存在感が大きい。他社に乗り換えるにしても、そのスイッチコスト(感情的コスト・手間も含む)を鑑みると同じような製品であれば買わない。 だから、ライバル企業から顧客を奪うためには、異なる視点からアプローチすることが必要であると説いている。ライバル企業とは違うメリットを訴求する必要があると。

しかし、一部の業界を除けば、どの企業も同じような製品を出していると言える。企業からすれば全く違うのかもしれないが、少なくとも顧客にとってはその違いを認識していても、大きな違いとは考えていないことが多い。顧客が「同じだ」と言うのであれば、同じものを作っているということである。なぜ、そのような業界が多いのだろうか?

考えられる理由としては、どの会社も「似ている顧客を奪い合っている」ということがある。もちろん、 業界・商品サービスにもよって違うが、特に日用品や消費財に関してはそのような傾向が強い。あまり深く考えて購入しない関与度が低い製品においては、A社とB社が認識している顧客像が非常に似ているのだ。例えば、JALに乗る顧客とANAに乗る顧客が違うか?と言われれば同じであるし、ソフトバンクとauの顧客が違うのか?と言われればそんなことはない。多くの部分で似たような顧客を持っているはずだ。そのような結果、両社が実施するマーケティングや製品開発が似通ってくるのは必然ともいえる。各社違いを出そうとはしているものの、決定的な違いを見出すには至っていない。顧客からすれば得られるメリットはどちらも同じのように感じる。

このような状態を脱するためには、基本的に2つの方法があるとされる。
1つは、競合他社よりも良い部分・優れている部分を伝えることだ。これは他社の訴求ポイントと同じ視点に立ってはいるものの、自社の方がさらに良いことを訴求する方法だ。例えば、ディスプレイの画素数である。画素数が他社よりも多いことをアピールすることで顧客を奪うという方法だ。

しかし、現代においてこのような方法は多くの場合通用しない。どんなに努力しても顧客が知覚できるほどの違いを生み出すことが難しくなってきているからだ。「顧客の考える違い」と「企業の考える違い」は同じではない。顧客にとっては、どれだけの実感値があるかどうかだ。感じることが出来なければ違いがない、同じということになる。ライバル企業よりも圧倒的な違いがあり、かつ顧客にとって重要なことであれば、この手法を取るべきだが、顧客が実感できないもの、もしくは重要ではないことであればこの方法は有効には働かない。

もう一つの方法は、異なる視点からアプローチする方法だ。例えば、インテリアとして魅力的なテレビを開発するなどである。テレビの価値を画面が綺麗かどうかという枠から外れ、生活スタイルの一部としての視点でテレビを捉え直すことなどである。このような方法は、多くの企業が採用する手法である。顧客の変化を徹底的に観察し、顧客に変化に合わせて製品開発し発売する。高度なマーケティング能力だけでなく、顧客を全ての出発点として、製品開発までを一貫して実施する組織が必要な手法である。

しかし、現代においてはそれだけでは不足している。トップ企業は上記のやり方に加えてスピードが圧倒的に優れている。現代においては、顧客の視点の変化にどれだけ早く適応した製品を開発できるかにかかっている。インテリアにもなるテレビを作ったと思ったら、スマートテレビを開発するなど次々に顧客の変化に寄り添った対応が出来るかどうかだ。

このような企業が伸びるのは、顧客の変化が非常に早いからだ。これまでのように一つの製品開発するのに3年以上かかるようだともう遅いのだ。3年も経てば欲しいものは変わっているのだ。

さらに、顧客の変化にスピーディーに対応することのメリットがある。それは、1番最初に顧客に知覚された企業は強いということだ。似たような製品を出す追随するメーカーに対して後発企業の印象を付与することが出来る。それが何度か繰り返されると、欲しいものはA社がいつも作っているようなイメージが出てくる。その結果、さらに多くの人がA社を選ぶようになるという循環が生まれる。製品自体に大きな差はもちろんない。顧客にとっては本来どちらでもいい。

今、伸びている企業の多くは、徹底して顧客の変化にスピーディーに対応する戦略を実施するために組織を最適化している。一方、伸びない企業は、顧客中心に製品開発をしているものの、スピードが伴っていないことが多い。現代において、スピードは非常に強力な価値なのだ。

しかし、もう一つの方法がある。それは、ブランドの強化である。商品サービスに違いを見い出せないのであれば圧倒的なブランド力で勝負する方法である。しかし、この方法は上記の組織体制が構築されていなければ不可能である。どんなにデザインにお金をかけても、どんなに魅力的なブランドストーリーを作っても、顧客はそんなことに騙されはしない。ブランドというものは、企業の中の誰かが頑張れば構築できるようなものではない。企業全体で取り組むべきものであり、社員一人ひとりまで考え方が浸透していなければならない。なぜなら、そのような思想・価値観・考え方が企業のふるまいになり、ブランドの重要な要素になるからだ。旧態依然とした体制や考え方を持ったまま、ブランドを強化することは難しい。見た目を良くするのが精一杯だ。

企業によって戦略は様々だ。スピードを戦略として採用するのは一つの手段でしかない。しかし、今伸びている企業というのは、その戦略の先にある目的達成のために一貫とした組織・文化・戦略を有している。そう簡単に出来ることではない。企業として何を目指し、そのためにどうすべきかが徹底されている。これはマーケティング部単位で出来ることではない。会社のトップが考え実施していくことだ。これには大きな決断と勇気がいる。そして、大きな変化を伴う。非常に難しい決断だ。しかし、簡単ではないことを成し遂げたからこそトップ企業なのだ。安易な方法によって事業が拡大することなんてない。強くそう感じる。

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