マーケティング関連の記事を書いていますが、基本思いつきのメモです。なので、記事を信じないでください(笑)

消費者とブランドのつながりを強化し購買行動を促進するマーケティング手法

消費者は特定のブランドやメーカーに対して強い想いを持つことがある。その強い想いにより、他のブランド製品は目に入らなくなる。この強い想いは、その「ブランドへの共感」であると言われている。つまり、ブランドが「自分自身にふさわしいと感じる」ことや「自分自身そのものだ」と感じるのことである。

このような想いは、「自己とブランドのつながり(Self-brand Connection:=以降SBC)」と呼ばれている。SBC(Self-brand Connection)とは、消費者とブランドとの絆や結びつきのことを言う。言い換えると、そのブランドが、 消費者のアイデンティティ、 目標、 問題、 価値に強く関連している状態と定義される。例えば、NIKEの 「 Just do it.」 というメッセージ(WebやTVCMやイベントなどから受けるメッセージ)を自分自身の人生の目標や問題として共感することである。以前、NIKIはフルマラソン2時間切りプロジェクトを実施したことがあるが、あのような「挑戦」が自分自身の中にある「挑戦」と共鳴し、「自分自身にふさわしい」であったり、「自分自身そのものだ」と感じるのだ。

このような共感によって、消費者は特定のブランドを自分自身と重ね合わせ、ブランドとの絆・結びつきを強くするのである。また、このSBC(自己とブランドのつながり)は、購買行動の強い要因になることが分かっている。上記のような感情を抱いた消費者はそのブランドの商品を購入する可能性が高くなることが複数の研究によって明らかにされているそうだ。

このようなブランドとのつながりによって、消費者に「3つのこと」がもたらされると言われている。

  1. Enabling (消費者を力づけ、自信や安心を与 える)
  2. Enticing(消費者を満足させ、暖かさや共感を与える)
  3. Enriching(自己を妥当化し、他者とのつながりやステイタスをもたらす)

逆に言えば、この3つの感情を抱かせることが出来れば、ブランドとの結びつきが強いということであり、該当ブランドの製品を購入してくれる可能性が高まるということだ。

では、どのようにすればこのSBC(自己とブランドのつながり)を高めることが出来るのか?最近の研究では、消費者が所属する「準拠集団が強く影響している」ことが明らかになっている。準拠集団とは、wikipediaによれば「人の価値観、信念、態度、行動などに強い影響を与える集団を意味する、社会学、社会心理学の用語。家族、地域、学校、職場などのこと。」である。

ここでは「所属集団」「羨望集団」「所属したくない集団」の3つを押さえてもらえれば大丈夫だ。所属集団とは、例えば自分の会社であったり、学校のことである。眺望集団とは、(字のままであるが)その消費者にとってあこがれの集団、例えばトップ企業や全国トップクラスの学校のことである。そして、所属したくない集団は、そのままであるが消費者自身がネガティブな感情を抱くような集団のことだ。

この準拠集団がSBC(自己とブランドのつながり)を強めるというのはどういうことかというと、あるブランドが「所属集団」もしくは「眺望集団」においてよく利用される・使われているという認識を与えるとSBC(自己とブランドのつながり)が向上するというのだ。逆に、「所属したくない集団」においてよく使われるブランドという認識を与えてもSBCは向上しない。例えば、NIKIブランドのシューズが、強豪校で使われていると認知することでNIKIブランドへの態度が変化するということだ。感覚的に理解出来るだろう。

つまり、SBC(自己とブランドのつながり)を高めたいと思うのであれば「このブランドはあなたの所属集団もしくは眺望集団でよく使われていますよ」という情報を与えることで、そのブランドと自分自身を重ね合わせ、目標・問題・価値を満たせると認識させることが可能だということだ。また別の論文でも、「イタリア(眺望集団)から輸入されたブランドである」と言った場合と「日本人(所属集団)に人気である」という主旨のニュース記事を見せることで購買意向が強められたとしている。

多くの場合、消費者には当初そのブランドを判断する基準がない。そのため、知らないブランドを評価することが難しいため、知ろうとする動機すら起きない。しかし、自分自身の所属する集団が使っていることは、もしかすると自分自身に合ったものであるかもしれないと感じさせるし、憧れの集団が使っているのであれば、なりたい自分になれるかもしれないと感じさせる。そうすることで、自分自身とブランドとのつながりが強化されるというわけだ。

このような手法は特に珍しいものではない。(陸王というTBSのドラマを見た人なら分かるだろうが)スポーツシューズメーカーなどは選手へのシューズ提供によって同じような効果を狙っている。

しかし、この手法は他の業界にも広く応用が出来るはずだ。最近では、BtoB企業が●▲会社に導入されましたというニュースリリースを頻繁に出すところがあるが、あのPR施策は有効に働くことがあるということだ。

しかし、まだこの手法を戦略的に使っているところがあるのか?と言われるとまだまだ少ないのではないだろうか?意図して顧客がどのような集団に属しているのか?どのような集団にあこがれを抱いているのか?を調査し、ブランドとの関係を強化を図る目的でリリースやニュースを出しているところは少ないように感じる。

準拠集団というのは価値観によっても信念によっても区別することが出来るわけだから、多種多様な切り口で施策を実施することが出来るはずだ。ぜひ、一度考えてみてはいかがだろうか。

参考文献:マーケティングジャーナル2018winter内「ブランドへの愛着と購買意図」(日本マーケティング学会)

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