マーケティング戦略を考えろと言われても何をどうすれば良いか分からない。そんな人が実際には多いのではないでしょうか?今回は、そんなマーケティングに関わり始めた人のために、マーケティング戦略を考える際の1つのヒントを提供出来ればと思います。
マーケティング戦略を考えるに当たって、まず何が必要だと思いますでしょうか?マーケティング戦略に限らず、戦略を考える前にやらなければならないのは、まず何よりも「目的の設定」です。戦略とは、そもそも複数の敵が存在することを前提とし、そのような中で自分たちの目的を達成するために考えられたものです。そのため、目的のない戦略というものは存在しないわけで、まず何よりやらなければならいのは、自社のマーケティングの目的とは何かを明確に定義することなのです。
しかし、この目的の設定は、意外にも難しいものです。あなたの会社が業界3位なら2位になることが目的なのか?3位を維持することが目的なのかによってやるべきことが異なるように、目的を正しく定義しなければ、戦略を考えることはできません。可能な限り売上を最大化したいなどの目的がよくありますが、このような目的は避けるべきであり、本来であれば既存顧客から売上を5%上げることで売上を増加させるなど具体的で明確なものでなければいけません。目的の設定の仕方だけでも、いくつかの記事が書けてしまうのですが、以前、目的設定の仕方について書いた記事があるので、詳しくはコチラをご参照ください。
ここでは、既存の顧客層ではこれ以上売上拡大が難しいことが分かり、新しい顧客を見つけてそこから売上を拡大させることを目的とした場合を想定したいと思います。
目的の設定が完了したら、次にやるべきことは、自社がどんな製品サービスと競合しているかを幅広く検討することです。ここで言う「競合を幅広く検討する」というのは、万年筆の競合はボールペンであるというような、誰でもわかる競合製品をリストアップすることではありません。そうではなく、万年筆を贈り物と捉えるなど、異なる視点から製品を捉えなおすことを言っているのです。万年筆を書くためのものと定義するのであれば、ボールペンが競合しているのは確かです。しかし、同時に万年筆はプレゼントとして送るものと定義することも可能です。このように定義するとボールペンは競合ではなくなり、この場合の競合は「ネクタイ」などのギフト製品が競合になるわけです。
万年筆は、書くための製品であると同時にギフト製品でもあるように、製品の機能的側面ではなく、ベネフィット的側面から見ることで様々な製品と競合していることが理解できます。それがここで言う「競合を幅広く検討する」という意味です。ベネフィット的側面から見ることで、自社が本当に戦っている市場が見えてきます。そうすることで、魅力的な市場を見つける可能性が出てくるわけです。
そして、自社の市場を定義しなおしたら、次にやるべきことは、その複数の市場の中で自社が勝てる市場を見つけることです。つまり、ボールペンと戦うよりも、ギフト製品として戦うことに絞り込むということです。ここで考えるべきことは、自社の資産を再定義することです。どんなことに優位性を持っているのか?どんな人材がいるのか?競合企業の資産レベルは?などを検討することで、自社が最も勝てる可能性のある市場を特定するのです。もちろん、設定した目的に売上を10億増加させることが設定されているのであれば、目的を達成出来るだけの十分なボリュームがあるかなど魅力度なども検討する必要があります。自社の資源と目的と照らし合わせた時、どの市場で戦うことが最も良いかを検討するのです。
また、この考え方が適用できる企業・業種は限られている可能性が高いことも付け加えておきます。どうしようもなく、競合が限られる場合もあるでしょう。そのような場合にはこの考え方は適用しにくいと思います。しかし、このように考えることで可能性が広がる企業は多いはずです。ぜひ、考え方の1つとして参考にしてもらえれば幸いです。
参考文献:マーケティングプロフェッショナルの視点