マーケティング関連の記事を書いていますが、基本思いつきのメモです。なので、記事を信じないでください(笑)

マーケティング・オートメーションの導入運用支援を断られました。

だいぶ昔のことですが、私がとあるマーケティング会社に勤務していた時、とあるマーケティング・オートメーション(以後MA)を導入したい企業があって自社ではリソースがなかったので、インプリ及び運用を外部パートナーに依頼することになったことがあります。インプリの内容は、全然難しいものではなく、ツールの知識や経験があれば十分にこなせるものでした。しかも、金額的にも十分に支払える条件を提示したのですが、断られてしまいました。

この企業は、このMAツールの導入実績も複数あったので、まさか断れるとは思っていませんでした。そこで、直接お会いしてその理由についてお聞きしたところ、実はこのMAツールの導入・運用においてトラブルが頻発しているというのです。詳細をお聞きすると、例えばメール送信の運用業務において、度々配信ミスが発生するということでした。具体的に言うと、メールを正しく制作して正しく設定しても過去のメールが配信されてしまう事象が起きるとのことでした。どうも、キャッシュが強力なようで意図しないメールが配信されてしまうことで、この企業としてはしばらくはこのツールの導入・運用はストップしているそうでした。

私も色んなMAツールの導入・運用をしてきたので、そんなことが本当に起きるのか?と正直なところ疑っていました。しかし、その後、同ツールを運用している人に聞いたところ、本当に時々そのようなことが起きるというのです。さらに、MAツールの根幹でもあるオートメーション機能も正しく動かないこともあるとのことで、ビックリしました。顧客は何万人といるわけで、それら顧客をセグメントする機能が正しく動かないということは、本来送るべきでない人にも送ってしまいます。しかも、一人ひとりチェックすることなんて不可能ですから、これは非常に大きな問題だと思いました。

そんなことが起きてから、何度もメール配信のミスが色んな企業で頻発するようになりました。皆さんも気づいている人も多いのではないでしょうか?昔に比べて圧倒的に配信ミスが増加しているのです。この一年で何度配信ミスのお詫びメールを受け取ったか数え切れません。それは明らかなことだと思います。しかし、マーケティングに関わることのない人だと何か配信ミスが多いな~くらいにしか思わないでしょうが、我々のようなマーケティングに関わる人間からすると、これら配信ミスはたぶんMAツールが関連しているんだろうな~と思うものなのです。

その理由は、上述したようなツールそのものに原因があることもあるのですが、それ以上にMAでのメール配信はそもそも配信ミスが起きやすいのです。MAを導入する目的の1つは、パーソナライズにあると言えるでしょう。MAの導入企業のすべてと言ってもいいくらい殆どの企業がパーソナライズをしようとします。それはメールでも同じで、セグメント毎にメールの内容を変えて配信していることが非常に増えているのです。しかし、そのパーソナライズが配信ミスを誘発しています。

パーソナライズをしようとするとき、実は非常に複雑な作業をしなければならなくなります。十数個のセグメントを用意して、各セグメント毎にクリエイティブを用意するわけですが、この設定にミスが起きます。そんなことミスるのか?と思うかもしれませんが、ミスるのです。その原因は、MAに設定されたクリエイティブのチェックが非常にやりにくいことです。基本的にどんなMAツールにも各クリエイティブが正しく設定されているかをチェックするためのチェック機能は実装されていません。チェックするためには、チェック用のデータを作成し十数通のメールを送信して確認するしかありません。しかし、同じようなメールを数十通チェックしていると間違いに気づきにくくなるのです。

さらにミスりやすいのは、リストの設定です。クリエイティブは目で見ることが出来るので比較的間違い難いのですが、リストはそうはいきません。どのリストがどのクリエイティブに設定されているのかのチェックは非常に間違いやすいです。リスト名はどんなに工夫しても文字でしかないため、パッ見では間違いに気づきにくいものです。しかも、MAツールはリスト設定が間違いやすいことを想定して作られていないために、今どのクリエイティブにどのリストを設定しているのかの確認が非常に分かりにくい設計になっていることが多いのです。結果として、間違いが頻発することになるのです。

実際に運用していると分かるのですが、こればっかりは説明しきれない部分があります。きっと、これを読んでも何でミスが頻発するのか理解できないかもしれません。しかし、実際に配信ミスが頻発するのはこのようなことが原因なのです。

正直なところ、人間の作業には必ずミスが発生します。どんなに頑張ってもミスが起きます。そのため、多くのシステムではミスの起きやすい箇所では、可能な限りミスが発生しないように設計されているものなのですが、正直なところ、MAはそのような設計にはなっていません。海外製であることもあるかもしれませんが、日本製にしても似たようなものです。

現在、MAはだいぶ下火になってきています。その要因の一つは配信ミスが起きやすいことも原因の1つのような気がしています。実際、MAを取り外す企業は非常に多いようです。結局は、自分たちでは運用出来ないとなりやすいのです。しかし、外部パートナーに頼もうにも上述したようにどうしようもなくミスが起きやすいために、運用を請け負う企業も実は非常に少ないのです。配信ミスが運用企業の責任になってしまうからです。しかも、運用には本来大きなコストが必要になるのですが、導入企業は運用にはコストがこれまでよりも抑えることが出来ると思い込んでいる場合が多いのです。ツールベンダーが間違った営業をしてしまうことが原因ですが、いずれにせよ、導入企業にはどうしてもお金を出すことが出来ないとなることでMAを諦める企業が多いのです。

今後、MAがさらに使えるツールになるのであれば、きっとチェック機能やチェックのしやすいミスの起きにくいシステムにしなければ、導入企業だけでMAを運用するのは難しいと思います。MAはそもそもマーケティング知識や経験も必要になるツールです。しかし、今のMAはマーケティング知識や経験以前に、配信ミスが起きやすいという問題に正しく対応していないと思います。今後、どんなアップデートがあるのか注目ですね。

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