「消費行動における準拠集団の影響」をマーケティングに活用する。

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以前、TBSのドラマで「陸王」というテレビドラマがあった。そのドラマでは人気の陸上選手が自社のシューズを履いてもらうことで売り上げに影響するという主旨が描かれていた。

この手法は1つのマーケティング手法である。なぜなら、消費者はその製品やブランドを買うのかについて自分自身の考えだけで決めているわけではない。自分たちの属する集団に適しているのかという社会的な側面や憧れの人が身に付けている製品なのかなども考慮してどの製品を買うのか、どのブランドを買うのかを決めるものであるからだ。

例えば、憧れのスポーツ選手が身に付けているメーカーのスポーツ製品を買いたいと思ったり、尊敬する経営者がゴルフは経営に役に立つと言えばゴルフ用品を取り揃えたりする。

このような手法をマーケティングに取り入れ取り入れようとする企業も多いのではないだろうか。近年では、インフルエンサーマーケティングがよく実践されている。Youtuberなどを使って自社製品をアピールする企業が多く見受けられるようになった。しかし、インフルエンサーを使ったからといって成功するわけでもないことは明らかである。それは商品特性がそもそもインフルエンサーマーケティングに適していなかったりするからだ。

今回紹介する「消費行動における集団の影響」も同じように、商品特性によって影響があったり影響がなかったりする。以下に「準拠集団」をキーワードに記載していく。

アカデミックなマーケティングの世界においては、「準拠集団」がどの製品カテゴリーを購入するのか、どのブランドを購入するのかに対して影響を与えると言われている。

準拠集団とは、人の価値観、信念、態度、行動などに強い影響与える集団のことである。例えば家族、地域、学校、職場などのことである。準拠集団はその構成員に対して時に「かくあるべき」との模範を示すのが特徴と言われている。

憧れのスポーツ選手や尊敬する経営者は、自分自身が所属している準拠集団ではないが、憧れの準拠集団であり、彼らの言動に大きな影響を受けるのである。また、逆に属したくない準拠集団も存在し、彼らからの影響は受けたくないと考える傾向もある。

つまり、自分の属する準拠集団に見合った製品カテゴリーやブランドを選んだり、憧れの準拠集団が選ぶ製品カテゴリーやブランドを欲しくなるということである。また、属したくない準拠集団が使っている製品サービスは使いたがらないのだ。

しかし、どんな製品どんなブランドでも準拠集団から影響を受けるというわけではない。

例えば、購入する商品が「贅沢品かどうか」かによって準拠集団の影響を受けたり受けなかったりするし、その製品が「人目に触れるかどうか」によっても準拠集団の影響を受けたり受けなかったりするのである。

研究では「贅沢品」を買うことに対しては、準拠集団が強い影響与える一方で、「必需品や日用品」では多くの人によって所有されるため、準拠集団の与える影響は弱いとしている。

また、その製品が「人目に触れる場合」では準拠集団がブランド選択に与える影響が強い一方で、「人目に触れない場合」では準拠集団がブランドの選択に与える影響は弱いとしている。

まとめると下記の図のようになる。

日本マーケティング学会:テーマ書評シリーズ97 準拠集団が消費行動に及ぼす影響

右上の「贅沢品」で「人目に触れる」ような商品の特性があるものは、「この製品カテゴリ―をそもそも買うのか」と「どのブランドを買うのか」は準拠集団から大きな影響を受ける。
しかし、右下の「贅沢品」であるが「人目に触れない」ものは、「この製品カテゴリ―をそもそも買うのか」には準拠集団の影響を受けるが、「どのブランドを買うのか」には準拠集団は大きな影響を与えない。
図の例にあるように、製氷機を持ちたいかは、準拠集団から影響を受けるものの、どのメーカーのものを持ちたいかは、あまり準拠集団は関係がないのは何となく理解できる。

さらに、「必需品」で「人目に触れる」ような商品特性のものは、「この製品カテゴリーをそもそも買うのか」には準拠集団の影響を受けないが、「どのブランドを買うのか」には準拠集団の影響を受ける。
例にあるように、時計そのものを持ちたいかどうかは、準拠集団の影響は受けないが、どのブランドを持ちたいか(カシオ?ロレックス?)は準拠集団の影響を受けるのは納得がいく。
また、「必需品」で「人目に触れない」ような商品特性のものは、「この製品カテゴリ―をそもそも買うのか」と「どのブランドを買うのか」は準拠集団から影響は受けない。

もちろん、その人の生活スタイルにも変わるので注意は必要である。マットレスが人目に触れる場所に置くのであれば、ブランド選択に準拠集団の影響が現れるということである。

あなたの会社の製品はこのマトリクスのどこに当てはまるであろうか。ターゲットがどんな準拠集団に属しているのか、どんな憧れの準拠集団を持っているのかによってマーケティング施策を実施することも効果的な場合があるかもしれない。マーケティング施策を考える上での1つの参考になれば幸いである。

参考文献: 日本マーケティング学会:テーマ書評シリーズ97 準拠集団が消費行動に及ぼす影響