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製品ラインの拡大はマーケティングに良くも悪くも影響を与える。

製品ラインを拡大する企業は多いですが、失敗する企業が多いのも事実です。

例えば、IBMはかつて大型コンピューターに集中していたものの、その後PC、ソフトウエア、複合機など様々な製品に手を出していました。しかし、その後、それら手の出した製品の殆どを売上不振によって手放しています。当時IBMは、製品ラインを増やした結果、売上は高いものの利益は非常に少ないものでした。

事業に成功した企業は多くの場合、製品ラインを増やすものです。成功した自社のブランドを活用することで他カテゴリーでも成功できると考えることは普通です。強力なブランドとは製品ラインを増やしても成功出来るかもしれないと思えるほど強いものです。

コカ・コーラ社は、普通のコカ・コーラ以外にも「コカ・コーラ ゼロ」「コカ・コーラ ゼロカフェイン」「コカ・コーラ クリア」「コカ・コーラ プラスコーヒー」「コカ・コーラ ピーチ」「コカ・コーラ プラス」など様々な製品がありますが、「コカ・コーラ ゼロ」はカロリーを気にする時代にマッチしてゼロ系飲料ではトップレベルの売上を上げています。

なぜ、製品ラインを増やして成功する企業と失敗する企業があるのでしょうか?
その1つの理由は、成功したブランドイメージを使って新しい製品ラインを増やすことで、それまでのイメージが薄れることがあるからです。進出する製品ラインの種類によっては、せっかく成功したブランドを毀損させたり、それまでのイメージが変化することがあります。
その結果、本業への影響が出てくる可能性があるわけです。

例えばIBMの場合、顧客からすると様々な製品ラインに進出することによって、「IBMは一体何の会社なのか?」という疑問を頭の中に想起させてしまったのだと思います。それまでの大型コンピューターの会社で「先進的or後進的という比較軸」において「先進的」というポジションを確立していたものが、様々な製品ラインに進出したことでその比較軸が弱まったと考えられます。また、進出した製品サービスにしても「先進的」というポジションは、顧客からすれば納得しきれない部分もあったのでしょう。IBMが進出した製品サービスの業界には、既にトップブランドがあったわけで、どこまでIBMが出来るの?出来ないの?という比較軸が想起され上手くいかなかったと考えられます。

企業は一つの行動によって、顧客に様々な比較軸を想起させてしまうことを十分に知り、ネガティブな比較軸を想起させないか慎重に考えるべきです。

一方、コカ・コーラは比較的製品ラインを拡張しても成功している企業です。コカ・コーラは「カロリー、健康という比較軸」において「高カロリー、体に良くない」というカテゴリーに消費者は分類していました。しかし、「コカ・コーラ ゼロ」「コカ・コーラ プラス」などの製品ラインによってそれらネガティブな比較軸を取り除くことに成功しています。つまり、これまでの味と爽快感というコカ・コーラの基礎を保ちながらも、時代の流れの中で顧客の頭の中で想起されるようになったネガティブな比較軸を取り除くことに成功した素晴らしい例と言えます。

製品ラインを増やすことで必ず失敗するわけでも成功するわけでもありませんが、重要なことは製品ラインを増やすことでそれまでの比較軸が弱くならないか?新しい比較軸でネガティブに分類されないか?時代の流れによって発生したネガティブな比較軸を削除することはできないか?など多方面から考えていくことです。

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