マーケティング関連の記事を書いていますが、基本思いつきのメモです。なので、記事を信じないでください(笑)

「ペルソナ」と「簡易ペルソナ」の違いを知らないマーケティング担当者が多いのではないか?

ペルソナが売上・利益に貢献したという企業を私は知らない。ペルソナを作ることで社内で顧客イメージの共通認識ができたなどの成果は聞いたことがあるが、ペルソナによって売上利益を向上させた企業は聞いたことがない。なぜ、ペルソナを作っても売上利益が向上しないのだろうか?

私はペルソナとは何なのかを多くの人が正確に知らないと思っている。ペルソナの本で「ペルソナ戦略」という書籍がある。この本ではペルソナとは、本来下記のような手順で実施するものとして紹介している。

ペルソナ作成は、(中略)未加工のデータソースから始まる。これは、データ分析してファクトイド(データ・ソースや仮説に基づいた、最小のデータ単位)に分けられ、ユーザーカテゴリーに関する「情報」として整理される。このユーザーカテゴリーをもとに、評価や優先順位づけをするための簡単な「スケルトン(ペルソナの骨格)」を作り出す。その後、スケルトンに対する評価や優先順位づけを実施して、ターゲット・ユーザーを詳細に描写するペルソナに展開する。

「ペルソナ戦略」より。一部説明を付与。

つまり、本来であればペルソナというのはデータから作成するものなのだ。この書籍に書かれている事例には1,000社の企業にアンケートを実施しそのデータを分析・分類・クラスター化することでペルソナを作成したとある。このような手順を踏んで作成するのが本来のペルソナである。

また、この書籍では「簡易ペルソナ」をデータソースに当たる前に作るべきと説明している。

簡易ペルソナとは、ユーザー集団についての自社内に存在する認識を知るためにコア・チームが作成するペルソナのことである。簡易ペルソナは、データの分析結果に基づいて作成するペルソナの前段階にもなるし、ペルソナを作るトレーニングにもなる。(中略)簡易ペルソナは、データではなく仮説をもとに作られている。これをはっきりさせておけば、簡易ペルソナをコミュニケーションに使ってもリスクは少ない。(中略)簡易ペルソナのリスクが発生するのは、仮説がもとになっていることを忘れたり、無視したりして、データをもとにしているかのように扱ったときである。

「ペルソナ戦略」より

つまりは、社内の人々から仮説を集めて作成するのが「簡易ペルソナ」である。そして「簡易ペルソナ」はデータ分析の前段階の1つのステップにしか過ぎないことが記載されている。さらに、この簡易ペルソナをまるでデータをもとに作成しているかのように扱うことに対して注意を促している。つまりは、正確性に欠くということだ。

しかし、さまざまなイベントや書籍で語られるのは「簡易ペルソナ」だ。データから作るのがペルソナなんて殆どの人が言っていないし、書いてもいない。しかし、まるでそれが本来のペルソナの作り方であるかのように伝えられている。そして、それを多くの人は盲目的に信用し、実践までしてしまっている。「簡易ペルソナ」は、本来のペルソナを作るための1つのステップであったはずだ。簡易ペルソナを施策に使うことについて注意を促しているにも関わらずである。

あなたの知っているペルソナはどっちのペルソナだろうか?きっと「簡易ペルソナ」だろう。

また、百歩譲って簡易ペルソナを作ることのメリットがあるとしよう。しかし、ペルソナを1つしか作らない企業が多いことはいかがなものかと思う。もちろん1つのペルソナでもいいのだが、現代のような多様化した顧客を1つのペルソナに落とし込めることはほとんどない。あなたの会社の顧客は1種類にまとめることが本当にできるのだろうか?きっとできないだろう。しかし、企業は1つのペルソナを作ろうと奮闘する。盲目的とはまさにこのようなことを言うのだろう。

さらに、マーケティング担当者の一部には、平均的な顧客像を描くことがペルソナだと思い込んでいる人さえいるが、そんなはずはない。現代は平均的な人は少なくなってきている。それを特徴的に示すのが下記の図ようなイメージである。こんな図を見たことがある人も多いだろう。平均的な人は少ない場合が多くなってきているのだ。

もちろん、業界や市場によって顧客の構成比は違うし、ターゲットとするのがボリュームの少ない顧客である場合はある。しかし、ペルソナを作ろうとするときに自社の市場の傾向を調べ、自社が競合他社と戦っても勝てるターゲットを特定しているだろうか?

当たり前だが、競合他社に勝てないターゲットを設定したり、利益がほとんど見込めないターゲットを設定しても努力は報われない。

イベントや書籍で紹介されている「簡易ペルソナ」を作る時には、理想的な顧客をイメージしたり、既存顧客をイメージしたりして取り組むそうだ。しかし、それだけでは成長のチャンスを逸する可能性がある。

なぜなら、理想的な顧客や既存顧客が自社にとって最も売上利益に貢献する顧客ではないかもしれないからだ。今のターゲット顧客から十分な売上利益が期待できないから、ペルソナを作って売上利益を改善しようとしたとする。その時、既存顧客をイメージしてペルソナを作ることに何の意味があるのだろうか?売上利益が少ない状態が加速するだけである。売上・利益を上げるためなのであれば、売上・利益を向上させる可能性のある顧客を特定しなければならない。また、理想的な顧客は本当に存在するのか?そして、どのくらいいるのか?も分からないでペルソナを作るのはあまりに非効率である。

さらに、ある企業が有名コンサルティング会社と一緒に作成したペルソナには、好きな動物という項目があり、そこには「猫」と記載があった。一体この「好きな動物」という項目は何のために存在するのだろうか?猫好きの人は何か特徴的な違いがあるのだろうか?猫好きと犬好きはそんなに違うのか?多くの企業がこんな感じだ。

上記のようなことをしている企業が実は多いのではないだろうか?ペルソナを作れば改善するのではない。適切な目的に沿ったペルソナを見つけ適切な項目を設定し、施策を実施することで改善するのである。

結局のところは、ペルソナが上手くいくかどうかは、セグメンテーションとターゲティングが大きな影響を与えるのである。自社が最も売上利益を上げるためにはどのような軸で顧客を切ればいいのか?そして、どこをターゲットとすることが最も適切なのかを考えることがまず何より大切なのだ。その上で設定したターゲットを深掘りするために簡易ペルソナを実施するのであれば効果的な施策を実施することができるかもしれない。

いきなりペルソナを作る企業が失敗するのは大体こんな感じだ。大きな失敗にならないのは、本気でペルソナに取り組んでいないからだろうし、完成したペルソナがあまりに信用に値しないからだろう。完成したペルソナを見て改善するイメージが出来ないのだ。その原因はそもそもマーケティングの基本であるセグメンテーションとターゲティングを適切にしていないからだ。

マーケティングが売上・利益に貢献するためにあるのであれば、ペルソナなどに安易に飛びつかずに、まずはセグメンテーションとターゲティングというマーケティングの基本をきっちり実施すべきである。それをちゃんと実践するだけでも多くのヒントを得ることが出来るはずだ。

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