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Salesforce Pardotが売れてHubspotが売れない理由

マーケティングオートメーションのSalesforce Pardotを導入する企業が継続的に増加しているようだ。以前よりも、成長のスピードは鈍化したとはいえ、継続的に導入企業が増えている。一方で、マーケティングオートメーションとして有名なHubspotも継続的に導入企業が増えているようだ。しかし、正直なところSalesforce Pardotの導入スピードと比較するとHubspotの導入スピードは圧倒的とは言わないまでも大きな差があるようだ。

なぜ、ここまでの差が生まれてしまっているのだろうか?私はこの記事でその原因について推測したいと思う。推測の中には、私自身の想像がたぶんに含まれるのでその点についてはあらかじめご了承いただきたい。私が業界で感じている肌感覚を文章にしているだけなので根拠となるデータがあるわけではない。その推測とは何か?それは、Salesforce PardotとHubspotの対象とするターゲット層と営業手法の違いに原因があるということである。

まず、2社がターゲットとする顧客について書いていきたいと思う。2社ともターゲットとしているのは、大企業というよりも中小企業である。社員数が数十人から数百名程度の企業に利用してもらうことを想定している。また、特にBtoB企業を想定している点においても同じだ。
次にこれらターゲット企業の情報収集の特徴について考えてみよう。私の感覚では、BtoBの中小企業の大部分はマーケティングに興味がない。興味がないというよりも、そもそもそんなことをやってないし、やらなくても問題なく事業を継続できてきた自負がある。ごく一部の企業においてBtoBマーケティングに力を入れているところはあるが(主にIT関連)全体的に見ればほんの一部と言ってよいだろう。

つまりは、中小企業のほとんどが自ら情報を収集するような行動をとっていないと考えられる。もちろん、WebサイトでBtoBマーケティングツールについて調べる人なんて全体のほんの一部だろう。マーケティングのマの字も知らない人達であり、どのように検討すべきかなど全くの無知の人だと考えるべきである。

そのような企業に対して2社は競合しているわけだが、以降は2社の営業のやり方について書いていきたい。このような顧客に対してSalceforceは、基本的に地道な戦略で対応している。インサイドセールスが電話しまくり、営業に見込顧客を渡していくということを徹底的に実施している。彼らの強みは何と言っても営業力である。彼らは興味関心のない顧客に対してでさえ電話で興味喚起を図ろうと試みている。(出来るかどうかは別として)専門チームが大量本数かけているので、あなたの会社にも1度か2度はかかってきているかもしれない。そのくらい電話営業している。だから、よくわからないけど名前は知っていたり、何となくどんなことが出来るのかまで知っている人がある程度いると考えらえる。結果、見込顧客は多い。

次に、Hubspotはどうだろうか?彼らはSalesforceと違って電話営業をしない。なぜなら、彼らには独自の考え方があるからだ。彼らの考え方は、「インバウンドマーケティング」と言って基本的に必要とする人に必要とされる情報を提供すれば、顧客がついてくれると考える。なので、基本的に彼らがすることはブログの執筆であったり、メディアへの寄稿だったりする。広告もしているがコンテンツへの誘導である点が他と違うところだ。だから、Hubspotを導入する企業というのは、自社のマーケティング課題の解決目的をもってHubspotを導入する企業が比較的多い。自社のマーケティング課題がHubspotで解決できるはずと考えている企業が多いのが特徴だ。つまりは、検討しない人はターゲットに入っていないと言っても良いくらいだ。

興味喚起するのは、ブログ記事であり電話ではない。あくまで課題感を持った人を対象とするので、潜在顧客にはなかなか届きにくい。その部分は広告でカバーしていると考えているが出稿量は少ないと推測している。Salesforceはその部分において違う。広告とインサイドセールスで対応している。もちろん、Salesforceもブログ記事などインバウンドマーケティング的なことはやっているがどう見ても力は入れていない。

このような特徴の違いの結果、なぜSalesforce Pardotの方が売れているのか何となくわかるのではないだろうか?一つの大きな違いは、Salesforce Pardotが潜在顧客に対してもインサイドセールスでアプローチしているのに対して、Hubspotはすでに課題認識をしている見込顧客を中心にアプローチしていることである。もう一つの違いは、Salesforceが電話や営業マンが商品の良さを人を介して説明をしていくのに対して、Hubspotは基本的に必要な人に必要な情報を人ではなくブログなどの記事で提供し、検討してもらおうとしていることである。つまりは、日本のBtoB企業の大多数を占める検討すらしていない人にはアプローチできていない。

まず、差がついた最大の理由は、Salesforce Pardotのほうがボリュームの大きい層に対してアプローチしている点だ。上述したように、BtoBの中小企業のほとんどが潜在顧客であり、マーケティングツールのことに対して全く興味も関心もない人たちである。このようなボリュームのある潜在顧客にアプローチできるかできないかは大きな違いだ。Hubspotは上述したように日本のBtoB企業の大多数にはアプローチできていない。おそらくHubspotという企業やプロダクトさえ知らないだろう。

結果として、話を聞いてマーケティングツールの導入を検討し始めた企業の第一候補はSalesforce pardotになるわけだ。もしかすると、競合調査をした結果Hubspotを知ることもあっただろうが大部分をSalesforce Pardotに取られていると考えるのが普通だろう。また、その戦略を可能にしたのが、Salesforceの圧倒的な営業力だ。電話で興味喚起し、営業がクロージングまで持っていくそのスキルは凄いものがある。この方法はSalesforceでしか実現できなかったともいえるのかもしれない。一方でHubspotの戦略は、顕在化した顧客へのアプローチである。ほんの一部の顕在化した顧客をターゲットにしている点で圧倒的にボリュームが小さい。ほかのマーケティング・オートメーションツールとの比較にもさらされ大きな違いがないプロダクト同士の競争に巻き込まれて思うような業績は期待できないのである。

HubspotとSalesforceの差がついた一つの理由は営業力であろう。上述したように、日本企業はマーケティングツールを検討すらしていない。また、彼らにとってどうマーケティングツールを選べばよいのか?という判断基準を持たない。そのような彼らに対してどんなにブログ記事を書いて、主要キーワードで上位表示を獲得したとしても、ほとんどの人には届かない。そもそも調べていない人が日本の場合はほとんどなのである。よく検討企業はお問合せする前にWebサイトを閲覧しており、問い合わせ時にはどのツールにするのかを決めている人が60%以上いるという数字を見ることがある。しかし、この数字はアメリカのデータであることを誰もが知っているにも関わらず、日本にもそのまま適応できると思い込んでしまっている。実際、Salesforceはコンテンツに力を入れずインサイドセールスや営業に力を入れている時点で気付くべきだ。日本では、そもそも検索すらしていないというのが正しい答えなのだ。

また、日本のBtoB企業の商習慣上、プロダクトと同じくらい営業マンの人となりを見る傾向がある。その営業マン本人のパーソナリティが購買に大きく影響する。プロダクト自体のスペックが多少劣っても営業マンのことを気に入れば購入されるのは日本において傾向が強い。もちろん海外でもその傾向はあるものの日本ほどではない。そのような慣習に、Salesforceのやり方はハマるのである。しかし、Hubspotは基本的にブログ記事を読んでもらいそこから初めて会うことになる。それではSalesforceと比べて圧倒的に見込顧客数が違うし、信頼を得にくいのである。BtoB企業だからといって完全に合理的な判断をするわけではないということである。

いかがだろうか?私個人の推測も入り込んでいるが、それら推測が正しいと仮定するとこのようなことが原因でSalesforce Pardotが売れて、Hubspotは比較的売れていないといえるのではないか?という内容であった。こう書いてしまうとHubspotはダメだと印象付けられてしまうので補足したい。まず、個人的なことを言えばプロダクト自体はSalesforce pardotもHubspotもそんなに大きく変わらない。正直なところどっちでもいいと思っている。さらに言うと、使いやすさで言えばHubspotのほうがはるかに使いやすい。それはほとんどの人が合意してくれるのではないか?というレベルで違いがある。さらに言うと、Hubspotは必要な人に必要なものをという考え方である。必要のない人にマーケティング・オートメーションを入れても全く意味ないと力強く語るのはHubspotである。その主張には私も大賛成である。一方で、Salesforce Pardotは明らかに導入しても使いこなせないことが分かっていても導入させてしまっている傾向がある。噂レベルであるが、Salesforce Pardot導入企業の一定の顧客はほとんど活用していない顧客であると言われている。私の周辺でもPardot導入したけど使っていないという企業は多い。Salesforceが悪いと言っているのではなく営業手法の違いである。

企業によって、やり方は様々だしどれが良い悪いというわけではないと思うが、現実にに合っているか合っていないかという視点は忘れてはいけないだろう。ほとんどの場合は、正しいところで正しいやり方をすれば上手くいくものだ。その意味では、Salesforceのやり方は日本には合っているやり方なのかもしれない。

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