テクノロジーの進化によって、何が強化され、何が衰退しているのか?マクルーハンの理論に沿ってマーケティング戦略を考える。

マーケティング, 考え方

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テクノロジーの進化によって人との関わりが少なくなってきていると感じるのは私だけではないはずだ。

マクルーハンは、「人間が生み出す人工物(製品やサービスまでも含む)は、すべて物理的な人間の身体および精神の拡張物である。(中略)人間が手を加えた人工物はすべて人間の感覚や機能の拡張物である。」と言った。そして、新しい人工物(新製品や新サービス)が登場することにより、強化されるものと衰退するものがあると言った。

例えば、「貨幣は取引の速度を早め画一的な価格体系を生むが(強化)、値切り交渉や物々交換、それに商品との人間的な関係の多くを廃れさせてしまう。」ということだ。新商品・新サービスによって享受できるようになった裏では、何かが失われているというのだ。

では、現代のテクノロジーの進化は何を強化し、何を衰退させているのだろうか?私は、テクノロジーの進化によって効率を強化することができるようになった一方、人間関係が失われてきていると考えている。例えば、「宅配ロッカーのPUDO」。このサービスは、メルカリなどで使えるもので、コンビニ等に設置したロッカーで宅急便の発送と受取を24時間可能にするものだ。お客さんのタイミングで発送と受取が出来るので非常に便利で、配達員としても無駄な移動時間を削ることが出来るのだが、一方では宅配員とお客さんのコミュニケーションがなくなる。企業としては無駄な移動時間などを削って効率化しているが、コミュニケーションを削っているとは考えない。このようなサービスが近年非常に増えてきている。企業が効率化を強化したことで、これまでの軽い人間関係というものはだいぶ消えてきているのだ。

しかし一方で、メルカリやshowroomなどの今までにないサービスが成長している。これはどういうことなのだろうか?それは、テクノロジーの進化によって知らぬ間に失った人間関係をもう一度構築したいという欲求が出てきたからだと私は思っている。人間は本能的に誰かと関わりたいと感じる生き物だ。一人では生きていけない動物だ。しかし、近年のテクノロジーの進化は、効率化と同時に人と人とを遠ざける結果となっている。結果として、人は知らず知らずのうちに人との関わりたいと感じるようになってきているのだと思う。そのような気持ちにメルカリやshowroomは応えることで成長してきているのだ。

テクノロジーの進化は、消費者にメリットをもたらす一方で何かを失わせているという視点は大切だ。特に、新製品、新サービスを検討する時やマーケティング戦略を検討する時には頭にいれておいて損はないだろう。

特に近年の傾向から言えば、消費者はこれ以上の人間関係の希薄化は求めていないと感じる。これからさらにテクノロジーは進化するだろうが、それに伴って人間関係を築きたいという欲求は高まると考えられる。

私たちはこのような世界に生きている。それを踏まえて各企業がどのようなポジションで何を提供するのかを考えることは大切である。

※参考文献:「メディアの法則」マーシャル・マクルーハン+エリック・マクルーハン著(NTT出版)