マーケティングにおいてストーリー・物語が効果的な理由

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ストーリー・物語はなぜ人を惹きつけるのか。

それは、ストーリー・物語が想像力を掻き立てるからではないだろうかと私は思う。自ら想像力を働かせることで、単なる文章からでは醸し出されない強い印象を得ることが出来るからだ。論理的に感動することはないのは、そこに感情がないからだ。感情がないものに感動することはないし、感情が伴わないものに強い印象をその人の心に残すことは出来ないのは当然のことである。今までのマーケティングは、どこか人々が合理的な存在であることを意識しすぎているように感じる。本来、人間とは合理的な側面とともに、感情的なものも含んだ存在であるはずである。

この記事では、なぜストーリー・物語が人を感動させ、人々に行動を起こさせるのかについて書いてみたいと思う。

 

論理の特徴

論理というものは、どうしても攻撃的だ。つまり、完璧な論理であればあるほど相手に対して何の余地も残さない。聞いている本人からすればがんじがらめにされ、何も言えない状態になってしまう。また、不完全な論理は、その不完全さを指摘されるスキを与えるために反論される。しかし、それはまさに議論である。論理は、感情を抜きにすることで正しく正確な結論に近づくことが出来るという特徴がある。異なる見解を持つ人間が、感情を抜きにして論理的に話し合う・議論することで何かが生まれ、そのテーマについて一歩進むことが出来る。つまり、論理は、話し合う・議論をするために様々な意見や見解が必要であり、その多様な意見があって初めて、お互いに新しい何かに気づいたりすることが出来る手法である。お互いの努力があってはじめて大きな成果をもたらす手法なのである。

 

ストーリー・物語の特徴

一方、ストーリー・物語は、相手に何かを強烈に刻み込んだり記憶させたりすることが出来る。論理のように、反論が必要なわけではない。ストーリー・物語は、聞き手の想像力や感情を揺さぶり、話し手の伝えたいテーマを理解させ記憶に刻み込む手法である。ストーリー・物語は、その話の流れの中に聞き手を引き込み、聞き手は、いつの間にか参加させられている。そして、あたかも聞き手自身がそのストーリー・物語の中にいるかのような錯覚を引き起こす。そのストーリー・物語の言葉によって、聞き手自らストーリー・物語に描かれるシーンを想像する。そして、様々な出来事に心揺さぶられ、その結果として、まるで自分自身が経験したかのような気分になる。ストーリー・物語とは、聞き手自身の想像力を掻き立て、その想像力を使って、あたかも聞き手自身が体験したかのように感じさせる手法なのである。

 

ストーリー・物語はマーケティングに向いている。

論理はどちらかと言えば、話し手も聞き手も同じ立ち位置にあり、冷静で客観的であり、感情を交えずに共に何かを生み出そうとする試みである。しかし、ストーリー・物語は、話し手と聞き手は同じ立ち位置にあるのではなく、話し手は、聞き手の想像力を掻き立て、それを利用することで聞き手自らを突き動かし、話し手が伝えたいことを理解させ感じさせる手法である。マーケティング手法として、どちらが優れているのかは一目瞭然である。論理的な議論は確かに、素晴らしい手法であるが、しかし、この手法は大人数の人々に向かって伝えるための手法ではない。共に何かを生み出すための手法である。どんなに論理的に説明したところで、伝える力が根本的に弱いのであって、マーケティングには不向きなのである。しかし、ストーリー・物語には、多くの人に対して正確に伝えることは出来ないにしろ、多くの人々の感情を揺さぶることが出来る機能がある。この手法を上手く使うことの方がはるかに効果的で効率がいいのは言うまでもないのだ。

 

ストーリー・物語が持つ機能まとめ

  1. 聞き手自身の想像力を突き動かす。言葉によって、様々なシーンを想像させることで、そのストーリー・物語の中に引きこむ・参加させる。
  2. 共感・期待・驚き・怒りなど。様々な感情とともにストーリー・物語を展開することで強烈に記憶に残す。つまり、感情移入させることで、実際に体験したように感じることが出来る。疑似体験させることが出来る。
  3. その疑似体験の中に、話し手が伝えたいエッセンスを組み込むことで、リアルな生活でするように、その体験を自分自身で解釈し、自分自身のものとして取り込ませることが出来る。

ストーリー・物語を読んだり聞いたりすることで、話し手の伝えたいことをまるで現実世界で起こったことのように再体験することが出来るのがストーリー・物語なのである。

人は、誰かに言われたことには反応も実行しないが、自分で考えたことはすぐに実行する。特に現代において、その傾向は強くなっているようだ。生き方に正解なんてないし、どう生きるのも自由だ。そんな中で人に行動を起こさせるためには、人々が自ら考えさせ、自ら行動するようにさせてやることである。ストーリー・物語には、その自ら行動を起こさせる要素が十分に含まれている。だからマーケティングにおいてストーリー・物語が効果的なのである。