マーケティングの本や記事に書かれていることの全てを信じてはいけない。

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多くの人は勉強好きである。マーケティングの論文を読むことで自分自身が少し成長したような気になる。それが気持ちよくて沢山の論文や本を読んでいるのだと思う。しかし、当然ながら読んだところで実践して失敗していかなければ自身のスキルにはなっていかない。しかし、ほとんどの人は実践せずに終わるために、論文や本に書いいることがその人の正しいマーケティングになってしまう。そして、知名度の高い人の論文は特に何も考えずに正しいものとして扱ってしまう傾向があるようだ。

しかし、そもそも論文や本に書いてあること自体が結構胡散臭いものが多い。例えば、セグメンテーションすることは古いと言っているような記事がある。その記事を読んで何も知らない人からすれば「そうなんだ」で終わってしまい、今後、セグメンテーションやターゲティングの話になった時には、きっと「そんなの古いですよ~」なんて言ってしまうのだ。

例えば、Newspicksで200以上のpick数を獲得している記事には、「セグメンテーションという悪癖」という論文が紹介されている。といっても内容を詳細に記載しているのではなく、簡単にSTPなんて古いよ!って言っているだけなのだが、ハーバードビジネスレビューの論文であるがためになぜか非常に説得力があるのだ。これこそ「誰が言うか」が大切な理由だ。

しかし、言いたいのはそんなことではなく「セグメンテーションという悪癖」という論文を読みもせずに、セグメンテーションは古いと思ってしまう人が問題だということだ。実はこの「セグメンテーションという悪癖」は読んだことがある。その内容は、デモグラフィックでセグメンテーションなんかしても何の成果も得ることは出来ない。そうではなく、顧客が利用するシーンに注目することの方が大切だと言っている論文である。

ここで気づく人もいるかもしれない。この「セグメンテーションという悪癖」で指摘されているセグメンテーションの問題はデモグラフィックでセグメンテーションすることが問題だと言っている点だ。実務でマーケティングをしている人であれば分かるが、デモグラフィックでセグメンテーションしても何の意味もないことは誰でも知っていることだ。そのため、現代においてデモグラフィックでセグメンテーションする企業なんてほとんどない。実際には、顧客のニーズや利用シーンにセグメンテーションすることやその他様々なセグメンテーションが考え出されている。

この論文では「デモグラフィックでセグメンテーションすること」=「セグメンテーション」という前提で主張が繰り返されている。つまり、正確には、デモグラフィックでセグメンテーションすることは古いが、デモグラフィックを使わないセグメンテーションは別に古くはないと言っているのだ。そして、それ以外にも顧客の利用シーン(論文ではジョブと呼んでいる)を大切にしようよと言っているのだ。

つまりは、セグメンテーションのすべてを否定しているのではなく、セグメンテーションの使い方の中には悪いものがあると言っているだけで、別にセグメンテーションのすべてが悪いとは言っていない。さらに言えば、STPも否定していないのである。おそらくは、雑誌を売りたいがためにこのような極端なタイトルを付けたのではないだろうかと推測される。また、そもそもこの「セグメンテーションの悪癖」は2006年のものであり古い論文でもあることも要因なのかもしれない。

いずれにせよ、マーケティングは実践してなんぼである。実践しているからこそ、論文のおかしなところとか、誇張し過ぎている点などが分かる。しかし、実践できない人からするとこのような知名度と信頼のおける人からの論文は絶対であり、そのまま信用せざるを得ないのも事実だ。

少し心配なのは、このようにマーケティングを知りたいと思っていて、まだ実践できていない人にターゲットを絞った記事というものが広まることでマーケティングを誤って理解してしまう人が大量生産されてしまうことだ。記事や書籍・論文を読むことは良いがすべてを信じるようなことはしない方が良い。パラダイムシフトだとかそんな「何か良さそうな言葉」に騙されてはいけない。また、マーケティングにおいて記事や書籍・論文に書かれていることがそのまま実践に使えるようなことは殆どないことも言っておきたい。結局は、考える力がどれだけあるか、そしてどれだけ実行力があるか、どれだけ顧客に共感できるかが重要なのである。