マーケティングは、既存顧客に力を入れるべき

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仕事をしていて毎日がつまらないと思っている人は多いのではないだろうか?私自身もそのような事を感じたことがある。特に広告代理店の営業をしていたころはそうだった。新卒で入社したころ、私は毎日のようにWebサイトのリニューアル提案のためにテレアポを繰り返した時期があるのだ。その頃は、本当に仕事がつまらなくてしょうがなかった。Webサイトのリニューアルなどやる会社は存在しておらず、1000件かけて会えるのは10社、その中で案件になるのは1件あればいいという状況だった。しかし、会社はそれなりの新規顧客を獲得して売り上げも利益もまずまずという状況だった。なぜだろう?と思っていたのだが、どうやら既存顧客からの紹介によって新規顧客を獲得しているようだった。しかも、今までテレアポで新規顧客を獲得したことがほぼないような状況だったことも分かり愕然としたものだ。

そして、時がたち自分で会社を経営するようになってこの当時の事をよく思い出すようになった。なぜなら、あの新卒で入った会社はきちんとしたマーケティングをしていたことに気づかされるからだ。世間で一般的に言われているのは、新規顧客をいかに獲得するかが売上と利益を上げるのに大切であるという主旨のものだが、しかし、実際には多くの会社が広告から売上と利益を上げているところは殆ど存在していないと思われる。特に、私が今までいたようなBtoBの会社ではそうだ。広告を出稿しても殆どの場合、売上につながることは少ない。売上につながる新規顧客は既存顧客からの紹介であることが殆どだ。そして、多くの企業が紹介から新規顧客を獲得しようとしている。今回はBtoB企業の場合の既存顧客へのマーケティングについて書いてみたいと思う。

 

◆既存顧客からの新規顧客の紹介は短期的な売上に直結し、費用対効果が高い。

既存顧客からの紹介される新規顧客は、皆さんご存知の通り売上に直結することが多い。特にBtoBの会社にとってはその傾向は特に強い。BtoBの事業というのは、顧客側からすれば使ってみないとわからないから、誰かの経験談が大きな影響を与える。また、紹介だと一生懸命に対応してくれる可能性も高いこともある。また、サービスの提供側からしても既に商品サービスの説明がされており、実際どんな効果があったのかということを第三者から説明されているために紹介を受けた時点でかなり確度が高い状態になっている。いわば、既存顧客が自社の商品サービスの営業マンとなっているわけである。これは会社にとっては非常に魅力的な流れである。営業マンはテレアポなんてする必要もなく、会う人は確度の高い人だから、契約成立までの時間もかからない。これほど費用対効果が高くそして売上につながる仕組みはないのだ。企業としては、広告もなく何の宣伝もしないのに勝手に顧客が連絡してくれる状況はまさに理想的だと言えるのである。だから、企業は出来る限り紹介される仕組みを作ろうとするのである。

 

◆営業マンをはじめとする社員のモチベーションが上がり、仕事の質が上がる。

私個人としては、このモチベーションと仕事の質が上がることがとても大きな影響があると考えている。前述のように何千件もの電話をしても全く相手にされない毎日というのはモチベーションが下がるのは当たり前である。たまに得た仕事でもその気持ちを引きずってしまいいい仕事が出来ない。それに、そもそも一日の仕事の殆どがテレアポなので本業である交渉などの仕事の経験やスキルというものが年数の割には非常に未熟なものになってしまうのである。

しかし、既存顧客から新規顧客を紹介される場合、営業マンは単純にうれしい。それだけのつき合いをしていたからこそ紹介してもらえたと感じることが出来るからだ。達成感や充実感を感じることが出来る。そして、紹介された顧客にもモチベーション高く対応する事が出来るし、殆どの時間をそのような顧客との対話など本業となる仕事に従事することが出来るようになる。つまりは、仕事の質が高くなる可能性が高くなるという事である。こうなるとその新規顧客からまた新規顧客を紹介してもらえるようになるという好循環が生まれるのである。

 

◆顧客との関係強化につながる。

パレートの法則を知っている人も多いと思う。20%の顧客が売上の80%を生み出ししているというあれである。企業経営者としてはどんどん新規顧客を獲得したいと考えるものであるが、しかし現実は違う。私が経営していた会社でもほぼこの法則が当てはまっていたし、今までの会社でも同じようであったと感じている。経営者が最もやっていはいけないのが新規顧客獲得のために営業マンを働かせることである。これをやって多くの企業がダメになったことを私は知っている。営業マンを新規顧客獲得のために多くの時間を過ごさせることで売上の80%を上げている既存顧客を失うからである。そして、新規顧客から得られる売上はすぐに大きなものになることはない。大きな売上になるためには長い時間が必要だからだ。効率効率と言われる現代において、多くの日本企業が既存顧客をないがしろにしているのは非常に不思議である。

しかし、既存顧客からの紹介を新規顧客獲得の大切な手法の一つと考えることが出来れば、既存顧客との関係性を大切にするようになる。もちろん、正しい付き合い方をする必要があるわけだが。私は、素晴らしい商品サービスがあれば勝手に売れるとは思っていない。特にBtoB事業においては営業マンの印象は非常に大きな影響をもたらす。ビジネスは結局は人間関係である。その関係性が上手く構築出来ない会社はどんな素晴らしい商品サービスでも大きな売上と利益を得ることは出来ない。企業が提供しているのはその商品サービスだけではない。営業マンやバックオフィスの社員がどんな人なのかについても購入において大きく影響するのだ。

 

◆社員一人ひとりの人間性が問われている。

これまで述べてきたように、いかに既存顧客と良い人間関係を継続できるかが大きな要因である。そして、そのために何をすべきなのかであるが、そこは昔の会社に学べることが多いと私は考えている。それはつまり、例えば年末年始の挨拶などの行事を大切にすることであると私は考えている。そのような対応をきちんとすることがまず第一歩である。そして、定期的なセミナー・勉強会・交流会などを開催したりして実際に会って話すことを大切にすることである。毎日メールや電話で話していてもその人とは良い人間関係を構築できるわけではない。やはり、基本は会って話すことそれに尽きるのである。既存顧客との飲み会などは非常に重要なのは言うまでもないのだ。現代のビジネスには、社員一人ひとりの人間性が重要な要素となっているのである。それが出来ない、もしくはしない企業は誰にもまねできない商品サービスをこの成熟した市場で開発するしかない。

 

◆潜在客・見込客へのマーケティングも大事

ここまで会社の売上には既存顧客が非常に重要であると述べてきたがもちろん、潜在顧客や見込顧客への広告宣伝やマーケティングも重要である。みすみす存在するはずの顧客を諦めるわけにもいかないからである。しかし、上記で述べたような基本的な顧客との人間関係の構築が出来なければ、どんなに新規顧客を集めても売り上げにはつながらないものである。むしろ、ネットの発達した現代において、自社の未熟さをあっという間に広めることにもつながるからだ。だから、まず最初に取り組むべきことは、既存顧客へのマーケティングであり、潜在顧客・見込み顧客へのマーケティングではないのである。

また、潜在顧客・見込み顧客へのマーケティングというのは、費用と時間が絶対的に必要なものである。多くの費用をかけたからといってすぐに成果が出るものではない。だから、BtoBの企業においてはその点を十分に考慮した上で予算を計上すべきなのである。インバウンドマーケティングなどは特に数か月で効果なんて期待できるものではない。数年のスパンで考えるべき施策であることを十分に理解するべきである。

効率を求めることは重要であるが、しかし、ビジネスが人間関係を基本としている以上、ビジネスが人間によって動かされている以上、ここで述べたようなことは絶対に必要である。効率効率と言われてそれを実践する会社が増えてきたからこそ、このような部分が見過ごされているのだと私は感じているのである。