人は誰かに言われたことには反応も行動もしない。
だけど、自分で思い付いたり考えたことには素早く反応し行動する。
だから、マーケティングは人が自ら思い付く環境・雰囲気・空気感、考えてもらうための環境・雰囲気・空気感を創り出す。製品であったり、デザインであったり、コピーライティングだったり、接客だったり、店舗だったり、口コミだったり、広告を使って。
そして、人々にある特定の反応や行動を取ってもらおうとする。つまり、マーケティングはあくまで環境・雰囲気・空気感を創り出すだけで、人々に何かを強制するものでもアピールするものでもない。自らすすんで特定の反応と行動を引き起こさせるためのものだ。
マーケティングは、お客さんの感性を発揮する機会や想像力を発揮する機会、考える機会、感じる機会を企業の都合で奪ってはいけない。
マーケティングは逆にそれらを発揮してもらうように仕向けなければならない。お客さんはそれらを発揮しているとき、自分を表現する喜びを感じるのだから。
よくある何%オフとか他社より安いとか、そんな手法はマーケティングの一部しかやっていない。というよりほとんどやっていない。安くなることでお客さんに提供できるものはあまりにも小さい。このマーケティングがお客さんに提供出来ているのは、お金の節約だけであって、製品そのもののによって享受できる何かではない。そんなものをマーケティングと呼んでしまうのはあまりにも悲しい。もし、それがマーケティングだというならきっとその製品やサービス自体ではお客さんに何のメリットももたらさない。メーカーやサービス業であるにも関わらず、お金の節約になることしかお客さんに提供出来ないのであれば、そんな製品もサービスも存在する意味はあまりない。決してお客さんから愛される製品・サービスには成りえない。そんなところにマーケティングが入り込む余地はほとんどない。
マーケティングとは、この記事の最初にも書いたように人々がそれぞれの価値観に沿って行動してもらうためのものである。マーケティングは決して何かを強制するものではなく、まず根底にあるのは人々の価値観へのリスペクトである。それなくしてマーケティングはあり得ない。自社都合で人々に価値観を押し付けるなんてマーケティングが最もやってはいけない事である。
マーケティングはお客さん1人1人がそれぞれ異なる価値観でもって、より美しく、より生き生きと人生を謳歌出来るように製品やサービスを通じてサポートするものである。もし、値引きや割安感をもってお客さんがより美しく、より生き生きとした人生を歩めるのであればそれでいいのだが、安いからといってそこまでの幸福感を得る事なんてあり得ない。出来ても一瞬だけである。だから、安いだけの製品・サービスは愛され続けることはないのである。
マーケティングは、常にお客さんに寄り添うものでなければならない。お客さんを一番理解していなければならないし、お客さんの気持ちに共感していなければならない。その上で、自社の製品・サービスで何が出来るのかを常に考えそして実行するのである。
お客さんの価値観を表現できるようにしてやり、お客さんの個性を発揮し表現するお手伝いをする。お客さんの個性が発揮できるように環境・雰囲気・空気感を創り出す。自分自身が決めてそれを自ら実行してもらうとはそういう事である。それがマーケティングである。お客さんの価値観をリスペクトするからこそ、お客さんの価値観に沿った行動をサポートするのである。