マーケティング関連の記事を書いていますが、基本思いつきのメモです。なので、記事を信じないでください(笑)

市場を創造し拡大していくために必要なマーケティングとは

今となっては「ハーブ」や「アロマテラピー」といった言葉は一般的である。しかし数十年前はハーブやアロマテラピーと言われたところで知っているのはほんの一部のマニアックな人たちだけであった。

一般的にマーケティングというと、既に存在するニーズや課題などに対していかに対応するのかである。しかし実際には全く新しい製品サービスにおいては市場をゼロから創造していかなければならない。まさに、「ハーブ」や「アロマテラピー」もまったく新しい市場であった。

今では一般的に知られるようになった「ハーブ」や「アロマテラピー」をどのように根付かせたのだろうか?「生活の木」という企業はそのことに成功している企業である。

『「ハーブ」という製品を売るのではなく、それらを使う「文化を広める」ことによって必然的に製品が売れるような状態にした。』と代表取締役社長は言う。

手作りのナチュラルな石鹸を作ることやコーヒーや紅茶ではなくたまにはハーブティーを飲んで健康的な暮らしを送るという「生活」を広めることが大切であると考えたわけである。そのような心を自然で豊かにしてくれる「生活スタイル」それ自体の提案だ。

生活の木では、そのためにカルチャースクールやアロマテラピー検定などを幅広く展開している。多くの利益がない設立当初から展開していたのである。それら生活スタイルに価値を感じてもらう人を増やそうとしたのだ。

さらに、それら文化に魅力を感じ適切な知識を蓄えた人たちがその知識を活用する場所も提供している。例えば、検定で資格を取得した人たちを自社で雇ったり、カルチャースクールの講師として採用したのだ。一部の講師が大人数に伝えておしまいではなく、教えてもらった人を逆に教える立場に置いた。

つまり、仲間づくりである。仲間を増やすことで、その文化や生活スタイルを伝える人が増え、結果的にその生活スタイルが広まると言う循環を生み出したのだ。

生活の木には「競合という考え方がない」という。競合ではなく同じくハーブやアロマテラピーという生活スタイルを広める同士・仲間と考えるそうだ。従業員やお客様も同士なのだ。

「文化を広める」ためには、その文化・生活スタイルへの「愛」が絶対に必要である。この生活スタイルを心から愛し、幸せに生きることが多くの人を惹きつける。そのような生活スタイルを用いて幸せに生きる人が増えることで文化になっていくのだ。

生活の木では、対面販売を基本とする。卸売りはしているもののその割合は3割程度と低い。生活の木があえて非効率な対面販売するのは、心から生活スタイルを愛し実際に使っている人が従業員と接することで「文化が広がる」と考えるからだ。ネット販売だけでは文化は形成されにくい。実際にその生活スタイルを心から愛し楽しんでいる人と接することの方が文化は育まれるのだ。

生活の木は、その「文化が広がる・生活スタイルの価値が高まることで、結果的に利益を得ることが出来る」という考え方のもと、販売方法、事業展開など構築し徹底している。

全く新しい製品サービスを普及させていくために「文化を広げる」という手法は珍しくもない。そのような手法を採用していると言っている企業は沢山あるだろう。しかし、生活の木が文化を広げることで利益を獲得することが出来たのは、文化を広げるために何が必要なのかをよく理解していたからである。

つまり、その文化を心から愛し実際に利用して生活している人を増やすことが文化が広げる源泉となるということだ。

「文化を広げる」ことで利益を得ると標ぼうしても、実際に利益を得ることが出来ない企業とはそこが決定的に違うのかもしれない。多くの企業が、理想形として「文化を広げる」を標ぼうしても、実際にやっていることは製品の販売であり、広告であり、結局は製品プロモーションであったりする。また、従業員も実は自社製品を愛用していない場合も多いだろう。

しかし、生活の木は全く違う。文化を広げるために徹底的に必要なことをしている。生活の木の従業員は、その文化・生活スタイルを心から愛している人たちだ。そのような人たちが対面で販売することこそに、文化が広がるための重要な秘密が隠されているのだ。

「文化を広める」ことに限定すれば、いかにシェアを奪うのか?というマーケティングは役に立たない。 もし、「文化を広める」ということが「その製品サービスを使う生活を広める」ということと同義なのであれば、その製品サービスへの「愛」を育むためのマーケティングも必要なのだ。そうでなければ市場全体の規模は大きくならず小さい市場でいつまでも勝負することになるのかもしれない。

参考文献:マーケティング・リフレーミング-視点が変わると価値が生まれる(有斐閣)

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