時代の変化によって売れる商品というものも変化していきます。カセットテープが消え、CDもなくなり、ガラケーは姿を消したように、何かの商品が売れるようになったと思いきや数年で異なる商品に置き換わる。そのような現象は今後も継続していくことが予想されます。
しかし、一方で継続的に売れ続けている商品があるのも事実です。様々な時代の変化に耐え別の商品に置き換わることなく売れ続ける商品にはどんな特徴があるのでしょうか?もちろん、技術革新が起きなかったり、生活必需品だからなどの要因はあるかもしれませんが、しかしそれだけではないように感じます。同じ生活必需品でも継続的に売れる商品と売れなくなる商品があるようにそこには違いがあると考えられます。
私は、継続的に売れる商品は、常に世の中の変化を捉えて自ら変化している一方で、売れなくなる商品は、変化に適応できなかったことが要因であると考えます。そんなことは分かっていると言う人が多いかもしれませんが、しかし、多くの企業はその変化を見逃してしまいます。その多くの原因の一つとして考えられるのが、自分たちの業界の中から見えるものを、業界の視点でしか見ないということです。
以前より生産技術が汎用化されたことで、各々の商品の差は小さくなり、価格が他社と変わらなくなると多くの人が考えるかも知れません。つまり、商品に差がなくなることで価格差もなくなるという考え方です。
しかし、実際はどうでしょうか?そうなっていないのではないでしょうか?商品自体に大きな差はないのに価格に差がある業界が存在します。iPhoneとアインドロイドはその筆頭でしょう。出来ることは大差ないにも関わらず、高価で利益では圧倒的にiPhoneが優っているのはなぜでしょうか?もっと身近なところにも同じようなことはあります。同じような商品を販売している小さな商店でさえ違いがあるのは昔から知られていることです。なぜ、同じ商品なのに一方の商店ではよく買われ、一方の商店では買われないのでしょうか?
それは自社業界でなく幅広い業界の変化にも気を配り自社業界との関連性について常日頃から考えているからこそ差が出来るのだと私は考えます。
生産技術や商品は確かに汎用化してきましたが、変化したのは生産技術や商品だけではなありません。電機メーカー業界の中から見た変化で言えば均質化という変化しか見えませんが、他の業界では、世の中にインターネットが普及し情報が広がり、顧客が製品を選ぶときの情報量が格段に増加したという変化も確実に存在しました。何かが変化しているときには、その一つだけが変化しているといことはなく、何かに影響されてその変化が起きているものです。
だから、その変化に気づけた企業はいかに情報を提供すれば高い金額で買ってもらえるのか?という試行錯誤を速い段階で開始できたけど、その変化に気づけない企業は均質化した商品を売るために何をすれば良いかわからない、もしくは、コスト削減などあまり効果が高くない手段を実行することになったのだと考えています。つまり、時代の変化に適応した効果的な施策を打てるか打てないかが現在の差になっているのだと思うわけです。
生産技術が汎用化したから価格競争になるのはしょうがないと考えるのは、あまりにも視野が狭いと言わざるを得ません。そうではなく、生産技術が汎用化したと同時に、他にどのような変化があったのか?そして、その変化をどう活用することでこの世界を生き残ることが出来るのか?ということを懸命に考えることが生き残る術なのです。
自分たちの業界の視点だけでは見えてこない変化が世の中にはたくさん存在します。それらを知ることで売上利益のヒントに気づくことができるはずです。ただ単に数字を追いかけるだけでなく、その数字の裏で起きていることを洞察するためには、幅広い知識を吸収するためのアンテナを張り、常日頃から考えることが必要なのです。もし、あなたの会社で理由の分からない事象が発生しているのであれば、それは間違いなく見落としている変化があると言うことです。積極的に情報を取得し考える必要があるのです。