マーケティング関連の記事を書いていますが、基本思いつきのメモです。なので、記事を信じないでください(笑)

マーケティング・オートメーション(MA)におけるスコアリングの使い方の変化と現在

◆これまでのスコアリングの考え方

マーケティング・オートメーション(MA)を導入して、まず検討を始めるのが「スコアリング」の使い方ではないでしょうか。見込み顧客の行動にスコアを付与することで、見込み度合いを可視化することが出来るため、非常に魅力的な機能に見えるますよね。ページ閲覧したら1ポイント追加、メール開封で1ポイント、メールクリックで3ポイント、フォーム通過で50ポイントといった感じで、あらかじめポイントを設定しておけば、あとは見込み顧客が行動すればするほどスコアが高くなり、行動しなければ点数は高くならないというわけです。

結果として、スコアの高い人は自社の製品サービスに高い関心を持っていると考えられ、顧客になる確率が高いとされます。なので、一定のスコア(例えば、100点)を超えた場合、自動的に営業担当者やISに通知をして積極的に営業アプローチをすることで、数多くの見込み顧客の中から効率的に確度の高い見込み顧客を抽出出来るというわけです。

しかし、MA導入当初はスコアリングに対する期待は高かったものの、導入後にスコアリングを上手く活用して成果を出したという企業はほとんど聞いたことがありません。それよりも、スコアリングに対して大きな期待を抱かなくなったとさえ感じられます。MA導入していもスコアリングを活用しようとする動きがない企業も実際増えてきたと思っています。ツールベンダーの営業でさえ、スコアリングを積極的に売りにすることはなくなってきた印象です。

なぜ、このようなことになってしまったのでしょうか?今回はこの「スコアリング」について考えていきたいと思います。

◆従来のスコアリングの前提条件

MAを導入した企業は、すぐに気づくことなのですが、上述したこれまでのスコアリングの考え方には、前提条件が存在します。そして、その前提条件を満たすことが非常に難しいことがスコアリングを上手く活用できていない大きな要因になっています。それは主に下記の3点です。

<スコアリングを活用するための前提条件>

  • スコアリングするだけの十分なコンテンツとメール配信している
  • 見込み顧客の性質として、確度の高い人ほどコンテンツをよく見る性質がある
  • 確度の高い見込み顧客の性質を企業が十分に理解しており、確度の高い見込み顧客がみるコンテンツを作ることが出来る。

まず、最初の前提条件である「スコアリングするだけの十分なコンテンツとメール配信している」という点についてご説明いたします。上述したようにスコアリングは点数によって確度が高い・低いを判断するものです。そのため、見込み顧客が動くことによってスコアが変動します。しかし、コンテンツがない企業やメール配信をしていない企業はどうなるでしょうか?そうです。スコアがそもそも加算されず、ほとんどの見込み顧客が大体同じような点数になってしまうのです。

特に中小企業のWebサイトなどは、簡単な説明しかない場合がほとんどです。ページ総数も10ページくらいしかない企業は数えきれないほどありますよね。そのような企業がスコアリングを活用しようとしても、そもそも見るコンテンツがないので点数が全く上がらないということになります。点差があっても20点くらいでしょう。そんな状態ではスコアによって確度を見極めるなんてことは夢のまた夢です。さらに、メール配信をしてないのであれば、なおさら点数は加算されません。

スコアリングとは、前提として多くのコンテンツによってスコアに差が生まれる環境があることが大前提なのです。そのため、「コンテンツを作りましょう!」とコンサルティング会社は軽く言うのですが、それが出来ないから今のページ数になっていることを理解していません。業界によっては、そもそもコンテンツを作り続けることが困難なところはいくらでもあります。商材によっても言えないこともたくさんあったりして、コンテンツを作り続けることが難しいのです。

また、コンテンツのアイデアはたくさんあっても、それをコンテンツに落とし込むことが出来ない企業も非常に多く存在します。そもそも文章を書くために就職したわけではない人たちばかりですから、ある日突然「文章をかけ!」しかも「見込み顧客がうちに興味を持ってもらえるような文章を書け!」と言われて出来るはずがないのです。

次に、2つ目の前提条件である「見込み顧客の性質として、確度の高い人ほどコンテンツをよく見る」という点について考えていきたいと思います。「スコアが高い人ほど確度が高い」というのは一見正しそうな感じがしますよね。でも、よくよく考えてみてください。決してそんなことはないのではないでしょうか?

もしかすると、ネット情報以外で情報をすでに入手していてコンテンツを見る理由がない人もいるのではないでしょうか。競合他社などのと比較しているうちに業界や製品情報に詳しくなり閲覧しないというケースは十分にあると思います。また、全く知識がないために、手当たり次第に情報を取得している人も結構な割合で存在します。検討するまでもないけど、将来必要になるかもしれないから沢山のページを閲覧するという人たちです。

このように、確度が高いからといってコンテンツをよく見るとは限らないのです。逆に確度が低いからコンテンツをよく見るというケースもよくある話なのです。この傾向は、業界の特徴によって全く異なります。そのため、確度の高い人ほどコンテンツをよく見る業界であればいいのですが、そうではない企業の方が圧倒的に多いのが現状でしょう。なので、スコアの高さがあまり意味のないものになってしまうわけです。

続いて、3つ目の前提条件である「確度の高い見込み顧客の性質を企業が十分に理解しており、確度の高い見込み顧客がみるコンテンツを作ることが出来る」について考えてみたいと思います。スコアで差をつけるためには、確度の高い顧客が興味を持ち、確度の低い顧客は興味を持たないコンテンツというものを用意することがよくあります。そうすることでスコアに差が生まれ、確度の高い顧客を抽出しやすくなるからです。また、顧客が欲しい情報を提供することが出来るため、企業への興味関心が高まるという効果もあります。

しかし、このように顧客を深く熟知している企業はどれだけあるのでしょうか?というより、全くないのではないでしょうか?そもそもそこまで顧客理解があるのであればスコアリングの使い方に悩むことなんてないでしょう。そうではなく、確度の高い人が分からないから、なんとかスコアリングで抽出できないか?と思っている企業がほとんどではないでしょうか。

このように、スコアリングとは、多くの前提条件が揃って初めて活用が出来るのです。

◆近年のスコアリング活用方法の変化

上述したように従来のスコアリングの考え方では、上手くいく企業はほとんどありませんでした。そのため、近年ではスコアリングに対する考え方がだいぶ変化してきています。従来のスコアリングの考え方の欠点は、いくつかの条件を満たさなければ、見込み顧客の行動から商談の確度を正確に表現することが出来ないことです。

なので、近年はそれら前提条件を満たさないでも、スコアリングを活用できないかという検討が進んでいます。一つの方法は、スコアを短期間にリセットしてしまう方法です。従来のスコアリングでは、スコアが加算され時間が経過すればするほど確度の高い人を見極めることが出来るという考え方でしたが、それには無理があるということで、1ヶ月や1週間単位でスコアをリセットしてしまい、短期間で多くの行動をした人だけを抽出するという考え方です。

この考え方は、従来の「十分なコンテンツがある」「確度の高い人ほどコンテンツを見る」という前提条件から完全には抜け出せていないのですが、計測期間を短期間に区切ってしまう点で従来よりは少しだけ進化した使い方と言えるでしょう。

このような使い方をする企業は、継続的にWebサイトへのアクセスがあり、検討期間が比較的短い企業です。1ヶ月単位でマーケティング施策が実施され、その施策で反応のなかった人は今はまだ確度が高まっていないと判断し、反応のあった人だけにインサイドセールスなどが積極的にアプローチしていくことで効率化を図っています。

次のスコアリングの使い方は、確度の情報を取得する箇所を増やすことでスコアを精緻化しようとするケースです。従来であればWeb上での行動に限定されていたのですが、近年ではインサイドセールスなどが一度はコールする企業が増えてきています。そのコールした際の、印象や課題感などによってIS担当者がスコアを変更するというものです。また、ISとのやり取りの回数などもスコア化するなどして、コンテンツ提供だけでなく、人から直接情報を提供し、その反応によって見極めるという方法です。ある調査では、商談までに平均8回程度のやり取りが発生すると言われています。見込み顧客から返信が継続し、やり取りが多くなればなるほど商談につながるというわけです。

こうすることで、Web上の行動に限定せずリアルな言葉をスコア化するということで少しだけ進化した使い方と言えるでしょう。しかし、インサイドセールスを確保しなければならなかったりと見込み顧客の育成のためのコストはこれまでのものとは比較にならないものになってしまいます。

次の考え方は、すでに商談創出の可能性をスコアに求めなくなったケースです。商談創出出来るかどうかはスコアでは判断出来ないとし、ISのコールの優先度に活用するやり方です。スコアは何らかの施策を実施する上で優先順位をつけるための数値として割り切ってしまうのです。

個人的には、この方法はどんな企業にも応用できる手法だと考えています。というのも、確度の高さをスコアに求めなくなったことで、多くの前提条件から解放されるからです。スコアはあくまで優先順位をつけるためのものと割り切ってしまうことで、企業によっては有益な活用方法を思いつくきっかけになるのではないでしょうか。

◆スコアリングはいまだに発展途上

上述したようにスコアリングという機能の活用には、さまざまな前提条件やコストなど多くの困難が存在し、いまだほとんどの企業がスコアリングを活用しきれていないのが現状です。しかし、少しずつではありますが進化はしており、今後もスコアリングを上手く活用するための長い旅が続きそうです。

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