すでにマーケティングオートメーションを導入済みの会社から「上手く活用できない」という相談され、MA導入時に提出された提案書を見る機会が時々あります。そのような相談を受けているとうまく活用できていない提案書には共通点があることに気づくようになりました。そこで今回は、失敗するMA導入提案書の特徴について自分の思うところをまとめてみました。
MA導入に失敗する提案書の2つの特徴
何度かMA導入提案書を見ていると失敗するMA導入提案書には大きく2つの特徴があることに気づきます。
失敗する提案書の特徴①『MAの設定・設計の提案書でしかない』
MAをマーケティングを進化させるツールとして捉えるのではなく、MAをシステムとして捉えた提案書です。提案内容は、システム開発の設計書のようなものであり、マーケティングについての記述がない提案書です。マーケティングのためのツールなのにマーケティングの記述がないってことないでしょ?と思う人も多いと思いますが、実際には意外と多いというのが私の印象です。残念ながら、このような提案書はシステム開発を得意とする会社に多いように感じます。
しかし、マーケティングのためのツールである以上、どんなターゲットに対してアプローチすることでどんな効果を得られるのか、そしてそれはなぜか?さらに、そもそもなぜそのターゲットが良いと考えたのかなど顧客理解を基礎としたマーケティング戦略についての考え方の記述は成果を上げるためには絶対必要です。
失敗する提案書の特徴②『MA導入後の夢物語が描かれている』
この種の提案書は、MAを導入することで顧客の態度が見事に変化し自社にとって理想的な状態になり売上・利益が増加するという夢物語が描かれた提案書です。このような提案書には、多くの場合「As is-To be」の記述があるのも特徴です。
しかし、マーケティングをやっている人であればわかるようにそんな簡単に理想的な状態になるわけがありません。MAは魔法の杖ではないからです。しかし、このような提案書を提出するMA導入支援会社はそのようなことは決して言いません。理想的な状態になる「可能性」があることを強調するだけです。嘘ではないが現実的に実現する可能性はほぼない提案になっているので実際に導入しても思ったような成果が出ません。現実的で実践的な提案が皆無なのが最大の原因です。
この2つの特徴から考えれば、なぜ成果が出ないのか?なぜうまく活用できないのかは、マーケティングの提案がないからということがよく分かると思います。MAは本来マーケティング戦略を進化させていくためのツールですが、失敗するMA導入提案書にはマーケティング戦略に関しての記述はない、もしくは現実的でない提案が書かれています。
結果、マーケティングをほとんど進化させることができず以前と大きく変わらず高いコストに見合った成果が出ないという会社が大量に生み出されるわけです。
MA導入提案書のチェックポイント
MAを導入しようとするときは提案書に「現実的で実践的なマーケティング戦略が書かれているか」をチェックすべきです。特に「顧客を理解をしようとする姿勢」が最大のポイントです。なぜなら、顧客理解がない状態では効果の出るマーケティング戦略など提案することができないからです。しかし、顧客理解は数か月で出来るものではありません。なので、長期的に付き合うことを前提とした提案を求めるべきです。2か月~3か月でとりあえずMAを導入するような提案の場合は、顧客は置き去りにされた状態でMAの設定がされる場合がほとんどです。顧客を無視した設定をして、成果が出ないのは当たり前のことです。そうではなく、時間をかけて顧客を理解しようとする姿勢のある会社かどうか、そしてそのような支援会社を求めているのかが大切なポイントだと思います。