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イケアは生き残れるか?消費者の変化に適応したマーケティング施策が必要とされている。

イケアがタスクラビットという企業を買収したニュースがあった。下記に引用する。

タスクラビットは、ちょっとした家事をお手ごろ価格で代行する事業者だ。重い家具の移動、壁の塗り替え、高い所にある照明の交換などを手伝う。さまざまなお手伝いの中でも、特に多く依頼される仕事がイケアの家具の組み立てだ。「家具を買うにしても2週間も待っていられず今日欲しい。かと言って自分で組み立てるのは面倒くさい」という人がタスクラビットに家具の組み立てを依頼する。
(中略)
1943年に開業したイケアは郊外型大型店舗で実際の家具を見てから購入する、という顧客接点を守ってきた。しかし、デジタルネーティブが増えた結果、いよいよ来店者が減少。
(中略)
自社が完全にコントロールできる店舗を販路としていた時には、カップルで来たのか、家族連れで来たのか、商品を見比べたときに常に競り負けているのは何なのか、どういう商品を組み合わせどのようなライフスタイルを訴求すると売れるのかという試行錯誤が可能だったが、ネット通販ではそうはいかない。
(中略)
組み立てサービスを提供すれば、同じ収納棚であっても、新婚夫婦が寝室に置こうとしているのか、新設の子供部屋に置こうとしているのか、その隣に別の棚はあるのかないのかなどが、こと細かに分かる。これは店舗に来ない時代の顧客接点となりうる。


日経クロストレンド(2019年2月8日)

これはイケアの消費者の変化したフィルター・思考枠への対応である。イケアが時代の変化・消費者の変化に対応しようとしているのである。

イケアにとって、この消費者の「ネットで何でも買うことが出来る」というフィルター・思考枠は売上を低下させるネガティブなフィルター・思考枠である。以前の記事でも取り上げたように、コカ・コーラは世の中の消費者がコカ・コーラを「不健康は良くない」「カロリーが高いものは良くない」というネガティブなフィルター・思考枠が強くなってきていることに気づき、そのネガティブなフィルター・思考枠を削除するために「コカ・コーラゼロ」を発売し解決しようとした経緯がある。

同じようにイケアにとっても、この消費者に新たに生まれたフィルター・思考枠が解消すべき問題となったわけだが、コカ・コーラのようにはいかない。イケアはどうすべきなのだろうか?

このブログでは、消費者はいつも商品サービスを見るとき、特定のフィルター・思考枠を使うことを言っている。そして、このフィルター・思考枠は常に変化するということも言い続けている。そして、売上を継続的に増加させる企業は、その変化を見逃さず、変化に合わせて「新しいフィルター・思考枠」を消費者に提供する。そうして新しい価値を見出すものだ。

今回の件は、時代の大きな変化によって引き起こされ、イケアはその変化に気づいてはいるが、まだ新しい価値を消費者に提供できていない。

タスクラビットはあくまで顧客接点を保つための施策であろう。その顧客接点から得られるデータからイケアをどのように見てもらいたいのか?という新しい価値を提供しなければイケアは衰退してしまうかもしれない。ネット通販で買い物する人が増えれば増えるほど、人の来ない巨大店舗を抱えたネット通販会社になってしまう。イケアは早急に消費者に対して新しいフィルター・思考枠を提供し、新しいイケアを再構築しなければならない。

マーケティング担当者は、変化し続ける消費者を常に観察し、変化に合わせて施策を打ち続けなければならないのである。

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