某大学のマーケティング担当のA氏は、メルマガ登録募集によってメールで入学希望者へアプローチすることが出来るようになった。しかし、登録してもらった入学希望者がどの学部に興味を持っていて何を知りたいのかについては分からない状態であった。情報を網羅的に送信しても興味を持ってもらえないし、自分だけに送られたことを感じさせることも出来ない。まずはターゲットのことを知る必要があると考えたA氏は、Hubspotからアンケート回答のキャンペーンメールを配信し、回答してもらった内容によって入学者希望者の知りたいコンテンツを提示することを考案した。
マーケティングオートメーションを導入して、コンテンツを出し分けることで最適なコンテンツを表示できると考える人は多いですが、『誰に何のコンテンツを表示することが効果的なのか?』については分かっていない人が多いのが現状です。そうならない為にもまずは後述するマトリクスを作成して、意味のあるコンテンツ出し分けなのか十分に検討することが大切です。
アンケート内容とコンテンツ出し分けの企画
今回の事例において考えるべきことは「どのような設問を用意して、回答別にどんなコンテンツを提示するのが効果的なのか」を決めることです。そのため、下記のようなマトリクス表を作成し、回答によってどんなコンテンツを提示するかを決めていきます。そのとき考えるべきことは「この情報は本当に求められているのか?」ということと「情報を提供することで入学志望度が高まるのか?」という視点で考えることです。情報を提供するのであれば入学志望度が高まる情報を提供した方がいいに決まっています。単に求められる情報を提示するだけでは十分な効果を得ることが出来ない可能性がありますので何の情報を提供するかをよく検討することが大切です。
今回のキャンペーンでは、入学希望者へ提供する情報を絞込み、なぜ学生がその情報を欲しがるのかを十分に理解した上で情報を提供し、自分に合った大学なのかを確認してもらったり、不安を解消してもらうことで志望度を上げることが出来ると考えられます。(画像をクリックして拡大出来ます。)
このマトリクス表によって、例えば下記のようにメールを配信して回答内容によってコンテンツを出し分けるように設定したいと思います。(画像をクリックして拡大出来ます。)
では、実際にこのメールコンテンツの出し分けをHubspotでどう設定するのか説明していきます。
アンケートフォーム設定
まずはアンケートフォームを作成しましょう。Hubspotでのフォーム作成はとても簡単です。「コンタクト>フォーム」と遷移してフォーム一覧ページを表示させ、右上の「新規フォームを作成」をクリックします。
フォームに名前を入力します。
ここから本格的なフォーム作成手順に入ります。大まかなフォーム作成手順を最初に言うと左上の「詳細」→「フィールド」→「オプション」→「エンベット」のタブ内を順番に設定していけば完了します。
まず「詳細」タブでは「送信ボタンテキスト」を記入します。これは「送信」とか「アンケートに回答する」とかに設定しておきます。
次に「フィールド」の設定です。ここでの「フィールドとは」=「設問」と考えてください。つまり「設問」を追加・削除するところです。追加方法は左側の「contact information」からあらかじめ作成しておいた「設問」を画面右側へドラッグ&ドロップするだけです。削除方法は、右側の設問の一番右側にあるギアマークをクリックして「remove」をクリックすることで削除することが出来ます。※設問の作成方法はまた別の機会にご説明いたします。
次に「オプション」の設定です。ここでは「エラーメッセージの言語」「フィールドに予め値を入力しますか?」「クッキーのトラッキングを無効化しかすか?」「このフォームでCaptchaを表示しますか?」「送信があれば通知」を設定します。
「エラーメッセージ」はデフォルトでは「English」になっているのでプルダウンから「japaniese」を選択しましょう。
次に「フィールドに予め値を入力しますか?」は今回は「いいえ」に設定します。この設定は以前にもHubspotフォームを通過した人が再びHubspotフォームに訪れた時に以前入力した値を表示させるかどうか?という設定です。今回はキャンペーンなので2回以上訪問することを想定していませんので「いいえ」にしておきます。この機能は、eBookをダウンロードするために再度訪問した時に同じ内容を入力しなくてもダウンロードできるようにするために使われたりします。
次に「クッキーのトラッキングを無効化しますか?」は「いいえ」に設定します。この機能は非常に重要ですので基本的に何があっても「いいえ」にしましょう。Hubspotに限らずほとんどのMAではフォーム通過させるかMAから送信したメール内のリンクをクリックするかでその後のページ遷移のトラッキングが可能になります。その為、この機能を「OFF」にしてしまうとフォーム入力してもその後のページ遷移をトラッキングすることが出来なくなってしまいマーケティングオートメーションを入れた意味がなくなってしまいます。
次に「このフォームでCaptchaを表示しますか?」です。これはロボットによる不正入力を避けたいのであれば「はい」でいいと思いますが、今回は「いいえ」に設定しておきます。
次に「送信があれば通知」です。これはこのフォーム通過があった場合にどのメールアドレスに通知させますか?ということです。自分自身や社内の責任者のメールアドレスを入力します。
最後に「エンベット」です。
ここで設定するのはまず「完了画面に関する設定」です。Hubspotでは別の完了画面へ遷移させる「リダイレクト」とフォーム画面上にサンキューメッセージが表示される「サンキューメッセージ」の2通り設定が可能です。私は基本的には「リダイレクト」で設定するのをおすすめします。というのも「サンキューメッセージ」の場合、サブミットボタンをクリックした時に画面下部になっていると画面上部に反映 されたサンキューメッセージが見えないことが多々あるからです。
そしてフォームのコードをHTMLファイルなどに貼り付けることでフォームを表示させることが可能になります。なお、コードの下にある「Hubspotのデフォルトスタイルを削除」にチェックを入れると独自のCSSを書くことが可能になります。ただ独自CSSを書くためには非常に面倒なのですが、いったんHTMLに貼り付けてブラウザでソースを表示させHubspotフォームのクラス名などをチェックしてCSSを記述する必要があります。これはHubspotが他のMAよりも我慢が必要なところです。。。
ワークフロー設定①=『リストへの振り分け』
次にワークフロー設定①です。ここでは、選択された回答によって異なるコンテンツを表示させる設定をします。具体的には、各々の選択肢ごとに別々のリストに振り分ける設定を行います。『商学部を選択した人を「商学部のリスト」に追加』『入試情報を選択した人を「入試情報のリスト」に追加』といった設定をします。※ワークフローの設定方法はこちらを参考にしてください。
まず開始条件は、「フォーム入力が完了」ですので下記のように設定します。(画像をクリックして拡大出来ます。)
次にアクションの設定では、「商学部」→「経済学部」→「政治経済学部」→「文学部」の順番に見ていき、選択した学部に当たったら該当するリストへ追加するという設定を行います。
次に、もう一つワークフローを作成し同じように開始条件をフォーム入力が完了したに設定します。(画像をクリックして拡大出来ます。)
そして、このワークフローのアクションでは「インタビュー」→「学費」→「就職」→「入試」の順番に見ていき、選択したものに当たったら該当するリストへ追加するという設定を行います。もう一つのワークフローをコピーして開始条件やアクション内容を変更すると楽に作成できます。※もちろん、設定に当たってはあらかじめリストを作成しておく必要があります。
つまりは、フォーム入力が完了すると2つのワークフローが同時に起動するようになるということです。
本日はここまでです。今回は各リストへ振り分ける方法を説明しましたが、次回はそのリストを使ってメール内コンテンツを出し分ける方法を説明します。