欠点や正直な告白は素直に調べることもなく受け入れるのに、積極的なアピールはすぐには受け入れず調べたりする。
どんなにあなたの会社の良いところをアピールしても誰も興味を持ってはくれないが、あなたの会社の欠点や正直なことを伝えると一気に好印象を持ってもらい話を聞いてくれるようになる。こんな経験をしたことはないだろうか?
アピールは顧客との距離を広げ、欠点や失敗は顧客との距離を縮める。
現代の顧客はあまりに多くのアピールにさらされ疲弊し、それら情報を無視するようになった。逆に欠点や失敗は顧客に注目と共感を与えたのである。
結果、企業からの積極的なアピール情報に接したとき、消費者の頭の中には、「信用できる・信用できない」の比較軸が想起され、殆どの場合「信用できない」に分類されてしまうようになった。逆に欠点の告白や失敗に対してはろくに調べもせずに「信用できる」に分類する。
そのような状態で企業はどうすべきだろうか?
私が提案したいのは、モノゴトを伝える順番である。殆どの場合、前述のように最初からメリットや良いところをアピールすると反射的・無意識的に身構えてしまう。心を閉ざした顧客に何を言っても無駄である。
そうではなく、まずは心を開いてもらう努力をすべきなのだ。顧客を話を聞いてくれる状態にする必要がある。
そして、心を開いてもらうためには、前述のように正直さや欠点が非常に有効なのだ。
例えば、洗口液のリステリンは「味が悪い」ことで知られていた。そのような状態でリステリンは「1日に2回嫌なお味を」と顧客に製品の欠点を正直に伝えた。そしてすぐに「多くの細菌を殺す」とも訴求した。結果、顧客は「味が悪いからこそ殺菌効果があるに違いない」と考えたのである。
リステリンの欠点を正直に伝えることでアピールを受け入れられる状態にし、その欠点をセリングポイントに繋げるという非常に巧妙なマーケティングを実践したのである。
製品サービスのポジティブな側面を手を替え品を替え訴求することが大切だと思っている人が非常に多い。顧客がアピール情報に対してどのような比較軸を想起し、どう分類しているかをあまりにも多くの人が無視している。0.1%の増加のために多くのコストがかかっていることに対して何の疑問も持たないのはいかがなものか。もっと大きな効果を生む可能性のある施策を考えているでしょうか?
今実践していることが本当に効率的・効果的なのかを改めて視点を変えて考えてみてはいかがでしょうか?
参考文献:「売れるもマーケ当たるもマーケ」(アル・ライズ/ジャック・トラウト共著)