電車で見かける洗顔料ブランド。今まで聞いたこともないブランドでキャッチコピーからすると海外ブランドのようだ。パッケージは、石鹸の箱のようなデザインでブランド名も固い感じのする名前。これを日本でどう売るのか?どうすれば売れるのかを考えてみようと思う。そして、その時にMAなどテクノロジーをどう活用するのかについても記載したい。
まずは、マーケティングの基本であるセグメンテーションである。洗顔料を使う女性たちはどんな理由で洗顔料を選んでいるのだろうか?おそらく下記のように分類できるだろう。
- 価格
- 感情:ブランド、歴史
- 機能性:使いやすさ、肌への影響、使用後の感覚
- 各々の組み合わせ
現在のところ、電車で見たこの海外ブランドの洗顔料は、ブランドを全面に押し出すマーケティングコミュニケーションを採用している様子だ。この洗顔料を使うことで得られる機能性や価格については全く触れられておらず、「日本人がまた驚く」のような言い方をしている。しかし、日本人が驚くのは興味を抱かせる段階では有効であると思うがそれだけで購入までには至らない。購入しても継続的な購入にはその他の理由が必要である。
感情に訴えて商品を購入してもらうためには、今消費者が何を求めているのかを知らなければならない。どんなに歴史を訴えてもその歴史に共感しなければ意味がないし、こんな風になれると言ってもそれになりたいと消費者が潜在意識の中で思っていなければならない。
事実、この海外洗顔料の「日本人がまた驚く」というコピーには、(海外へのあこがれ)という潜在意識を利用していると考えられるが、最近は海外へのあこがれという意識は薄れている。そういう意味ではもっと有効なやり方があるはずである。
マーケティングの基本は、「顧客が行きたい方向に商品サービスを利用して行かせてやること」である。だから、今回もこの洗顔料を使って顧客がどんなところへ行けるのかを提示し、そして実際に行けなければならないのである。例えば、きれいになりたい、かっこよくなりたい、仕事が出来るようになりたい、魅力的な人間になりたいなどの顧客の潜在的・意識的な願望の方向である。
まず私が考えたのは、商品の特徴である。この商品の特徴は「海外ブランド」「名前が固い」「パッケージが石鹸のよう」「パッケージが歴史を感じさせる」そんなところである。(もっとあるかもしれないけど、それくらいしか情報がなかった)
この商品でどうやって顧客の行きたい方向に行かせてやれるのか?私が思ったテーマは「基礎」である。商品の古い感じ、固いイメージは「基礎」をイメージさせることができる。そして、洗顔という「しっかりした基礎」の上にこそ「美しさが咲く」。そんなイメージを醸成できればいいのだと思った。これは顧客の「基礎がしっかりしていなければ、成長しない。」「基礎がしっかりしていれば、様々なことが可能になる」という意識を利用している。いつも思っているわけじゃないけど、どこかで当然だと思っていること。その感情を湧き起こすことでこの商品の「基礎」という感情と共感させることができると考えた。
また、その商品をどうやって買ってもらうか?これも大切なポイントだ。つまりは、購入体験はどうすべきなのか?どんなステップを踏ませるのか?ということ。私は下記のようなステップを踏ませることを提案したい。
- 基礎の大切さコンテンツ(ジャンル不問)→「美しさの基礎とは?」のバナーに誘導
- 美しさの基礎のコンテンツ→「美しさのための最適な洗顔料とは?」のバナーに誘導
- 製品の説明コンテンツ→「キャンペーンバナー」に誘導
購入をゴールと考えるならば上記のようなステップが必要だと思った。基礎が大切と認識し、美しさの基礎は正しい洗顔であることを認識し、そのための最適な製品が当社の製品であると認識することで購入まで至ると考えた。これが最も自然なのではないだろうか。
以下は、上記のポイントを踏まえた上で考えたマーケティング施策である。
■マーケティングコンセプト(キャッチコピー)
しっかりした基礎の上に美しさは咲く。それはどの世界でも同じ。
■マーケティング施策
1)「基礎」「基本」の大切さを語ったインタビュー形式の記事広告を掲載。分野は「モデル」「芸能人」「スポーツ選手」「ビジネスウーマン」「主婦」など出来る限り幅広く対応してプレゼントキャンペーンを実施しメールアドレスを取得。
※最後に、「美しさの基礎とは?バナー」を掲載して自社サイトへ誘導する。
2)各商品に店舗用の「美しさの基本」という小冊子を添付
3)また、DMPを利用し、上記サイトを訪れていない人で、興味関心の持ちそうなサイトを閲覧している人に記事広告&プレゼントキャンペーンを実施しメールアドレスを取得する。
4)メアド入力時に「ブランドイメージ」「購入経験」「サイト閲覧訪問数」を聞く。この3軸により顧客を分類し、各々に
メールコンテンツを配信する。
5)自社サイトで美しさの基礎などのコンテンツに「美しさのための最適な洗顔料とは?バナーを掲載」
6)製品の説明コンテンツへ誘導
7)MAを利用して、メールコンテンツの配信を実施。顧客を下記のように分類し、各々に施策を実施していく。
・優良見込客:「ブランドイメージ高い」「購入経験ありor購入意向高い」「サイト閲覧の幅広さ高い」
・中見込客:「ブランドイメージ中」「購入経験なし&購入意向中」「サイト閲覧の幅広さ中」
・低見込客:「ブランドイメージ低」「購入経験なし&購入意向低」「サイト閲覧の幅広さ低」
※優良見込客の中でも、ブランドイメージは高くて、購入意向とサイト閲覧数は低いなど詳細に分類する。
※各々の状態からより良い状態にするための施策(メールコンテンツ配信)を実施する。例えば、ブランドイメージ高くて購入意向とサイト閲覧の幅が低い人は、実際の利用イメージが湧いていないと考えて、利用方法や利用シーンのコンテンツを提示する。
※また、優良見込客には、簡単に定期購入できるようにアマゾンダッシュボタンのような機器をプレゼントするなどが有効である。
8)取得した情報を「リファラー別」「閲覧ページ・クリックページ別」等に分類し、各々に適応したコミュニケーション分析を実施する。
実際に購入した人の経路を分析し、上記の仮設やコミュニケーションが効果的かを検証する。
このコミュニケーションをPDCAで回して効果を上げていく。