顧客を満足させることが大切だと言われるが本当にそうなのだろうか?近年、ヒットしている商品を見てみると顧客満足によってヒットしたとは思えないからだ。例えば、ダイソンやルンバなどの商品は、本当に顧客満足を得たからヒットしたのだろうか?確かに、顧客は満足していると思う。しかし、顧客満足よりも一歩進んだものを提供したからこそヒットしたのではないかと感じるのは自分だけだろう。「期待を超えた商品」だったからこそ売れたとも言い換えることが出来ると思うのである。
それにしても、なぜ顧客満足を提供しても売れないのだろうか?私はこう考える。例えば、100点の期待値を持つ顧客に100点の商品を提供したとしたらどうだろうか?きっと、顧客は満足するはずだ。しかし、その満足は「想定内」と感じられるだろう。なぜなら、この日本にある商品の殆どは、私たちが要望するレベルに達しているからだ。私たちがこのくらいの商品が欲しいと思えば、いつでもどこでも自分の希望価格で買うことが出来る。どの商品も100点の期待値に対して100点で応えられるのだ。私たちはこのような世界に生きている。つまり、私たちは多くの側面で成熟化した時代に生きているのだ。
このような時代に、顧客から自社の商品を選んでもらいたいのであれば、顧客の期待する満足を満たしたところで選んでもらえるようにはならない。顧客を満足させようとするのではなく、顧客の期待をはるかに超えなければ選んではくれないのだ。そのため、顧客の言うことを完璧に答えることが出来るようになっても、それは売れるための条件を半分も満たしていないことになる。
では、どうすれば良いのだろうか?間違いないことは、顧客の言うことを聞くだけではいけないということだ。私たちは、これまで顧客の声に耳を澄ませ、顧客の満足を提供することで安心してしまっていたようだ。しかし、顧客は自分自身が欲しいものを提供してくれるのは、当然のこととして捉えているのだ。だから、そのような顧客に選んでもらうためには、顧客の声を聞くだけでなく、顧客が気づいていない要望を見つけ、満たさなければならないのだ。
ルンバなどは、顧客の声を聞いた結果生まれるような商品ではないことは誰でも分かるだろう。きっと、顧客の声を聞いていたら、ホースのついた掃除機という枠から抜け出すことは出来なかったはずだ。顧客の声を聞くのではなく、既存の常識や当たり前を超えたからこそ顧客の期待をはるかに超えることが出来たのである。
もはや、100点を目指した時点で大きな売上・利益の向上は見込めない。200点を目指すべきだ。200点を目指すからこそ200点に達するために考え、不足していることが明確になる。100点を目指していれば、いつの間にか200点になっていたなんてことは絶対に起こらない。200点を目指すから、200点を獲得することが出来るのだ。
マーケティング担当者として、より高い次元で考えることが求められているのである。