マーケティング関連の記事を書いていますが、基本思いつきのメモです。なので、記事を信じないでください(笑)

なぜラクな手法やツールに飛びついてマーケティングが失敗してしまうのか?

以前誰かがこんなことを言っていたのを思い出しました。

「マッチョになりたいので筋トレの方法を教えてほしいと言われて、筋トレメニューとプロテインの飲み方などを伝えたら、表情がコロッと変わって、その後連絡が取れなくなった。」

ちょっとした笑い話ですが、個人的にはこのような人は世の中の大半を占めると思っています。特にマーケティングの仕事をしていると、多くの消費者が上記のようにちょっとキツイことや面倒なことを伝えるだけで、いかにネガティブな感情になり冷めていくのかをよく知ることができます。

以前、私はとあるオウンドメディアを運営していたことがあるのですが、どんな記事がアクセスがあり、どんな記事はアクセスがないのかを調べたことがあります。特にタイトルの書き方によってどんな違いがあるのかを調べたことがあります。

その時、判明したのがタイトルに「簡単にできる」「楽にできる」という趣旨のタイトルがアクセスが増えて、逆に「難しそう」「大変そう」という趣旨のタイトルはアクセスが減ったのです。明らかにネット上の読者は、簡単に、そして楽に複雑で難しい問題を解決したいと思っているのが明確に見えていました。それからというもの、いかにタイトルに「直ぐに」「誰でも」「簡単に」出来るかを強調する試行錯誤が続いたわけですが、それが奏功してアクセスは順調に伸びていったのです。

人は楽をしたい生き物

しかし、このような話はオウンドメディアの記事だけのことではありません。ありとあらゆる分野でこのような傾向を見ることが出来ます。

例えば、学生時代の勉強方法においても似たようなことがあったのではないでしょうか。楽にそして簡単に成績を上げるために、大変そうな地味で面白味のない一般的な手法ではなく、怪しい楽で簡単な手法を試した人も多いのではないでしょうか?その最たる例が「睡眠学習」だと個人的には思っています。寝ている間に必要な知識が手に入るという謳い文句は、苦しい思いをしないで楽して成績を上げたい人間ほど魅力的に感じたものです。

また、仕事においても同じようなことがありますよね。例えば、ビジネスにおいて「論理的思考」のスキルは必須ですが、そのスキル習得のためにひたすらロジカルシンキングの本を読みまくる人がいます。しかし、論理的思考というのは本を読んでも身につくものではありません。仕事上で実践して人からフィードバックをもらうことで身につくものにも関わらず本を読んだだけで満足して、仕事では批判を恐れ全く発言も意見もしないばかりか考えもしない人が多いですよね。論理的思考の必要性を分かってはいても、フィードバックを嫌っていつまでも成長しないのです。

例を挙げるとキリがないので、このくらいにしておきますが、このような人間の「楽をしたい」という気持ちは至る所で見ることが出来ます。これはつまりは、人間の本質的な性質とも言えるのではないかと思います。実際、「楽をしたい」「もっと簡単に済ませたい」と思う気持ちがあったからこそ文明が生まれ経済が発達したとも言えるのですから。なので、「楽をしたい」という気持ちはどんな人間にもあるものでありそれ自体は否定するべきものではないということになります。

問題の解決は「ラクな方には存在しない」

しかし、これら「楽をしたい」という感情は問題や課題を解決する際には厄介な感情となります。

そもそも問題や課題というものは、簡単には解決することが出来ないから問題や課題になり得るのです。もし、簡単に解決できるのであれば問題や課題にすらなっていないはずです。しかし、こうやって世の中に多くの問題や課題が存在しているのは、それらが簡単には解決することが出来ないからこそ多くの人にとっての問題や課題になっているわけです。

そして、このような表面化した問題や課題を解決するには多くの困難が存在しているものです。例えば上述した勉強の例では、本来であれば成績を上げるためには実は地道で苦しい繰り返しが絶対的に必要でありそれを避けることはできません。しかし、このような状況で「楽をしたい」という感情が勝ってしまうと「睡眠学習」などというあり得ない手法に飛びついて地道で苦しい正しい方法から外れてしまうわけです。

また、マーケティング課題の一つに集客がある企業があったとします。予算も少なく広告を打つことも出来ない状況下で出来ることは本来であれば、オウンドメディアの記事を地道に更新していくことなど、少しずつ改善させていくことで集客力を上げていくことです。しかし、このような状況で「楽をして集客したい」という感情が勝ってしまうと「SNSでバズらせる」など、ビジネスとは言えないギャンブル的な一発逆転を狙うような施策を打ってしまい、少ない予算を無駄にしてしまうのです。

このようにほとんどの問題や課題の解決のためには、茨の道があるのが当然であり楽に解決することなど存在しないと考えるのが本来あるべき捉え方だと言えるのです。多くの学生が本質的な問題に正面から向き合わないように、多くの企業人も問題や課題に対して正面から向き合わず逃げてしまっているのです。

課題と向き合っているか常に自分自身に言い聞かせよう

また、問題・課題から逃げるのではなく、楽に解決できる問題・課題にすり替えてしまう人もビジネスの世界ではよくある話です。例えば、コンテンツがなくてナーチャリングできていないという課題に対してMA(マーケティング・オートメーション)を導入することで解決出来ると結論づけてしまうような場合です。本質的な課題は、良質なコンテンツを作ることが最も大きなインパクトのある解決策ですが、そうではなくタイミング良くコンテンツを配信出来ていないことがナーチャリング出来てない原因であるとして、課題をすり替えてしまう企業は実はたくさんあります。

確かに、タイミング良くコンテンツを配信することが出来ればナーチャリングは上手くいく可能性はあります。しかし、それは十分な良質なコンテンツがある場合の話であってコンテンツがないにも関わらずMAを導入してもタイミング良く配信できるコンテンツがなければ意味がありません。それに、タイミング良く配信することと良質なコンテンツを作ることのどちらが業績へのインパクトがあるのかといえば、間違いなく良質なコンテンツ作成です。しかし、多くの企業が本質的な課題から目を逸らして楽な方法(この場合ではMA導入)によって努力しているように見せているだけの状態に陥っている企業も多いのです。

簡単に解決するために、課題をすり替えてしまうのは意識的にせよ無意識的にせよ上手くいかない典型例です。自分達が地道にコンテンツ作りをしていくことに大きな心理的負荷を感じてしまい、そこから逃げるように別の解決出来そうなものに飛びついてしまうのは、学生から社会人まで全く変わらない行動傾向と言えるのです。

だからこそ、自分自身がそのような思考に陥っていないかを自問自答することが大切です。このような「楽をしたい」感情は誰にでもあるもので、この感情に支配され課題から逃げていると自分自身何も成長しない状態が継続することになってしまいます。

しかし、このことを常に意識し課題から正面から向き合うことが出来るのであれば必ずや自分自身の成長だけでなく会社の成長にもつながるはずです。そうすれば、「いかに楽して良質なコンテンツを作ることが出来るのか?」に頭を使うのが正しいと気づくことが出来るでしょう。「楽したい感情」を受け入れその感情を利用するくらいのつもりで日々努力して頂ければいいのだと思います。

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