マーケティング関連の記事を書いていますが、基本思いつきのメモです。なので、記事を信じないでください(笑)

人間の思考法を学べば、効果的なマーケティング戦略が生まれる。

人間には、2つの思考法があるという。ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンは「ファスト&スロー」でこう述べている。

・「システム1」は自動的に高速で働き、努力はまったく不要もしくは、必要であってもわずかである。また、自分のほうからコントロールしている感覚は一切ない。
・「システム2」は、複雑な計算など頭を使わなければできない困難な知的活動にしかるべき注意を割り当てる。システム2の働きは、代理、選択、集中などの主観的経験と関連付けられることが多い。

ファスト&スロー

私たちは日常生活において、上記の2つのシステムを運用している。そして、ほとんどの場合私たちは「システム1」をオンにしており、「システム2」は使っていない。「システム1」は、例えば「日本の首都は?」という質問に対して答えるときに使われる。他にも「2+2」のような簡単な問題に対して答えるときもこの「システム1」が使われる。「システム1」の活動は、ほとんど自動的に行われるもので、何らかの刺激に対して瞬間的に答えを導き出すことが出来る。特に論理的に考えることもなく感覚的で直線的に答えを導き出す。しかし、ほとんどの場合、この「システム1」によって日常生活を正しく送ることが出来る。

しかし、この「システム1」だけでは処理しきれないことも起きる。例えば、「172×246」といった計算をするとき「システム1」では処理しきれない。このような時はじめて「システム2」の出番となる。「システム2」は、この問題解決に役立つ的確な処理を注意深く行う。他にも2つの製品サービスを同じ尺度で比べてみて比較検討するような場合も「システム2」である。

つまり、あなたが考えたり行動したりすることの大半は、「システム1」から始まっている。しかし、モノゴトがややこしくなってくると、「システム2」が主導権を握り、最後の決定は「システム2」が行う。

カーネマンは、この「システム1」と「システム2」の関係を下記のように述べている。

システム1とシステム2の分担は、きわめて効率的に出来ている。すなわち、努力を最小化し成果を最適化するようになっている。ほとんどの場合に仕事の配分が上手くいくのは、システム1がだいたいにおいてうまくやっているからだ。慣れ親しんだ状況についてシステム1が作り上げたモデルは正確で、目先の予測もおおむね正しい。

ファスト&スロー

しかし、「システム1」の欠点についても述べている。

ただしシステム1にはバイアスもある。バイアスとは、ある特定の状況で決まって起きる系統的なエラーのことである。(中略)システム1は本来の質問を易しい質問に置き換えて答えようとするきらいがあるうえ、論理や統計はほとんどわかっていない。

ファスト&スロー

つまり、「システム1」は殆どの場合正しいが、その特質のゆえに間違うこともあるということだ。さらに、「システム1」から「システム2」に情報が提供されるが、その際には「システム1」での判断・感覚も一緒に提供される。そのため、「システム2」において「システム1」の判断が完全に覆されるようなことはあまりない。どこかで「システム1」の判断を引きずるのだ。特に好き嫌い・好印象悪印象は最後まで変わらないことが多い。

さらに、「システム2」において習慣的になった思考は「システム1」になることもある。よく将棋の棋士が感覚的に次の一手が分かるというが、そのような場合は「システム2」が「システム1」になっている場合である。

このような思考を私たちは日常の消費活動においても利用している。なので、上記のようなことは頭に入れておいて損はしないはずだ。そして、ここまで読んだ人であれば、消費財や日用品などに関しては「システム1」だけで購買を判断していることが多いのではないか?と感じた人も多いだろう。シャンプーの製品の成分を比較検討する人はいない。そして、逆にBtoBの製品サービスにおいては「システム1」だけで判断されることはなく、必ずと言ってもよいほど「システム2」を用いて検討するのだろうと考えたはずだ。BtoBの場合は、好き嫌いで判断できるわけではないし、社内の様々な人を通して決済されるものなので「システム1」が入り込む余地はないわけだ。

しかし、BtoBだからと言って「システム1」は全く関係がないというわけではない。上述したように「システム2」は「システム1」の情報をもとに動く。そして、「システム1」での判断も引き継がれる。つまり、最初の印象が悪いとその後の「システム2」でもそれを引きずるということだ。人間誰しも論理的に考えようとしても、感情的に悪い印象だとその論理も感情を正当化しようとするものになる傾向がある。いつの間にか、論理的にこの商品を買うべきでないと判断するロジックを組むことも出来るわけで、なぜかそっちの方が正しいと感じてしまうこともあるはずだ。

例えば、マンション購入はBtoCというカテゴリーだが、購買プロセスはBtoBに似た部分がある。どのマンションメーカーにするべきかを判断するときは必ずしも「システム2」だけで判断していないはずだ。客観的に比較表を作って検討したり、職場からの距離やローンや住環境などどんなに客観的に考えても、それでも多少劣ったところがあっても何となくこっちのメーカーの方がいいなと感じることがあるのではないだろうか。それは「システム1」の判断を引きずっているからである。

言い換えれば「システム1」は、その人が生まれてから今まで生きてきた中で身に付けた「価値観」とも言えるのかもしれないのだ。

このように考えると、いかに「システム1」が大切かが分かるだろう。人によっては、このことを「ブランド」と言うのかもしれない。また、あなたの会社の製品サービスが「システム1」だけで判断される商材なのか、「システム2」まで使って検討される商材なのかを知ることだけでも有益だろう。そして、さらに「システム2」で負けている部分を「システム1」の部分で補おうという考え方も出来るかもしれないし、逆に「システム2」で圧倒することで「システム1」に影響を与えることが出来るかもしれない。例えば、BtoC商材でも比較検討しないことの危うさを訴求することで消費者の「システム2」を起動させ、自社を存分にアピールするということも可能なはずだ。

いずれにせよ、人間の思考を学ぶということは非常に大切なことである。この思考法を学ぶことで効果的な戦略が生まれてくるのだ。そして、「システム1」が価値観なのであれば、現代を生きる人々がどんな価値観を持っているのか?どのように変化しているのか?を見極めることが大切だというマーケティングの基本に立ち返ることになるのだ。

参考文献:ファスト&スロー

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