マーケティング関連の記事を書いていますが、基本思いつきのメモです。なので、記事を信じないでください(笑)

住信SBIネット銀行におけるAI導入の考え方

◆AI中心の「日経デジタルマーケティングカンファレンス2017 Spring」

2017年4月18日(火)雅叙園にて「デジタルマーケティングカンファレンスSpring2017」が開催されました。私は「日経デジタルマーケティング」の定期購読者のため無料で参加することが出来るので参加することにしました。今回このイベントに参加を決めた最大の要因はやはり「AI」です。クライアント企業に「AI」をどう提案し導入することでどう利益を提供することが出来るのかというテーマは今の私にとっても非常に関心の高い分野だからです。

実際、午前10時開始予定だった基調講演は参加者が多すぎたために遅れに遅れ開始まで15分以上待たされるほどの盛況ぶりでした。世間の「AI」への関心は非常に高いことを改めて実感しました。そして、各セッションも非常に興味深い内容で実務の参考になるものであり、充実した時間を過ごすことが出来ました。

◆AI導入の考え方のフレームワークとして参考になった「住信SBIネット銀行」のセッション

いくつか「AI」に関するセッションに参加しましたが、最も参考になったのは住信SBIネット銀行の菅野氏の「AI/機械学習によるマーケティングの変革に向けた挑戦」でした。このセッションで語られたのは、AIを導入するに当たってどう考えたのかということです。AI導入のための考え方はどの業種の人間にとっても参考になるものでした。今回はそのことについて共有したいと思います。

【AI導入のためのステップ①】導入し知見を貯めていく考え方を採用する。
菅野氏が最初のステップとして語ったのは、「AIの特性」を把握した上で導入方針を決めるという考え方です。「AI」という技術は新しい技術で、「AIの技術」によって利益を拡大した企業は基本的にはない。そんな最先端技術を活用する上で大切な考え方は、「Quick&Dirty」を許容し、実験と評価を繰り返すことだと語っていました。何が正しいのかは分からない中でどんなに会議をしても結論を導き出せないのであれば、トライ&エラーを繰り返すことが最も良い方法であるということです。

【AI導入のためのステップ②】AI技術の整理
住信SBIネット銀行では、次にAI技術の再整理を行ったそうです。「予測・推論」「パターン認識」「文壮読解」「会話応対」といったAI技術を『強いAI』と『弱いAI』という学習能力の軸と『間をおいて応答』『その場で学習して応答』という応答能力の軸で区分したそうです。その上で、各技術が自社のどの部署で適用可能か当てはめていったとのこと。

【AI導入のためのステップ③】重点検討領域の選定
次に、これら適用可能な技術と適用場所を自社にとっての「コア領域」と「非コア領域」に分類します。ネット専業銀行として顧客価値の源泉となる部分とそうでない部分を区別することで検討すべき領域を絞り込んだのです。技術的にもオペレーション的にも予算的にも実施可能ではあっても競争優位性や差別化要因とならない領域にはAIを適用することを避けた。こうすることで、企業として意味のある領域でのトライ&エラーを繰り返すことが可能になったとのこと。

【AI導入のためのステップ④】トライ&エラー(POC=概念実証)
POCとは、「新しいアイディアを実現可能か試してみる。試した結果、実現できたか確認する」ということです。つまり住信SBIネット銀行は、AIの効果的な活用アイデアが実現可能か試してみる、そして結果実現できたかを確認するという作業をしました。そのとき3つの点において重視したそうです。その3つとは下記の3点です。

(1)「成功」の定義
(2)複数概念の実験
(3)設計の内製化

(1)の『「成功」の定義』をするのは、終わってからどう評価するのかを決めていては無駄な実験となってしまうからです。どうなることが成功なのかを明確にすることで正しい努力をするように努めたということと理解しました。
(2)の『複数概念の実験』というのは、異なる角度からのアプローチを実施することで一つが失敗しても他の実験で成功できるようにしたと言うことです。最初に記述したように未知なる技術を活用するわけでするからすべてが成功するわけではありません。失敗することを前提としても前に進めるようにしておくということと理解しました。
(3)『設計の内製化』というのは、未知なる技術である「AI」活用法を外部企業の力に頼ってしまうことで利益拡大の源泉が外部企業の能力に依存することになるということで、先端技術だからこそ社内ですすめたということでした。

ここまでがAI導入におけるステップの概要です。AIを導入するに当たってどう考えたのかについて非常に分かりやすくそして実践的な考え方が示されていたと感じています。この考え方を使うことで業種にこだわらずAI導入の検討を進めることが出来るのではないでしょうか。

また、最後に菅野氏が語った「今後の課題」の中で2つご紹介します。

課題①:AIは始めは「子供」である。精度向上には「教育」が必要であり、そのためにAI技術者との恒常的な議論が必要。
「AIは最初は子供」という言葉に私はとても共感を得ました。データをAIに入れてしまえばそれだけで何か有益な特徴量を導かれるわけではなく、どんなデータをどのように入れるのかによってAIの精度が変わるということを強調していました。AIから有益な特徴量を導くためには、AIに精通した人材が絶対必要だということです。そういう意味でも、トライ&エラーを早い段階から繰り返している企業はよりAIに強くなるような気がしました。

課題②:「汚い」データからは粗悪な結果しかでてこない。
現在でも同じですがAIにおいてもデータ欠損値の補完など地道な作業は絶対に必要ということでした。統計分析するときも同じですね。ここはAIにしても変わらない部分であり、データクレンジングは大切ということでした。

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