マーケティング関連の記事を書いていますが、基本思いつきのメモです。なので、記事を信じないでください(笑)

「顧客の過去」を知ることで「未来を予測」するマーケティング

人間は、時間が経過するにつれて変化する生き物である。誰しも子供の頃の思考法や感性は、大人になってから変化するものである。そのため、同じ人間であっても時間が経過することで全く異なる行動や反応を示すことになる。しかし、このような変化を意識した戦略を立案する企業は少ない。

その原因の一つは、多くの戦略論が現時点の顧客しか想定していないことにある。例えば、マーケティング戦略で言えば、ターゲット市場を絞り込み、そのターゲット市場のニーズにフィットするようにマーケティングミックス(4P)を構築することが説かれている。しかし、この考え方は、ある時点の顧客にフォーカスしているのであって、それら顧客が過去にどのような顧客であったのか、これからどのような顧客になり得るのかという視点は含まれていない。様々なマーケティング戦略の本には、「長期的に考えることが重要である」と書かれている割には、時間によって変化する顧客に対してどう対応すべきかということについては書かれていないことが多い。

「チョコエッグ」という商品を知っている人はいるだろうか?wikipediaには下記のような説明がなされている。

中が空洞になった卵型のチョコレートの中におまけの玩具が入っている。(中略)1999年9月に発売された日本の動物シリーズ第1弾は海洋堂所属松村しのぶ企画・原型であり、今までの食玩とは段違いの造型クオリティで食玩ブームの火付け役となった。(中略)卵型チョコの代名詞的存在である。(中略)フィギュアは数個の部品から構成されている嵌め込み式の組み立てモデルである。

wikipedia

この「チョコエッグ」の主要顧客は2つ(もしくは3つ)ある。1つ目のセグメントは「子供」。2つ目のセグメントは「大人(両親や祖父母)」である。子供にすればチョコとおもちゃが一緒に手に入ることで魅力を感じるし、大人にとってみても、動物の名前を聞かれたり、教えたりすることが出来るという意味で魅力的な商品である。さらに、大人の中には「チョコエッグ」をコレクションとして収集する人が一定数存在するという。1人で大量に買って帰る人が少なくなく、ネットオークションなどでは高額で売買されるケースもあるという。

このケースについて、マーケティングの教科書であれば、2つのターゲットに対してそれぞれ異なるアプローチをすべきだと言うだろう。例えば、大人向けの媒体と子供向けの媒体にそれぞれ異なる広告を出すべきだとか、コンビニなどの大人も子供も利用するような小売店を中心に活用すべきだとか、そんなことだ。もちろんそのような考え方は間違っていないし、むしろ正しいと思う。

しかし、収集すること自体に楽しみがあるようなお菓子を買ってもらっていた子供が、収集することの楽しさを覚えた結果、大人になっても何かを収集することを継続する傾向があるという視点はマーケティングの教科書では説明されることは少ない。

この「チョコエッグ」の場合であれば、下記のような顧客の変化を利用した戦略が見えてくる。

この「チョコエッグ」が長期間の売上を継続するためには、大切な視点だと言えるのではないだろうか。時代の流行りを追うことも重要であるが、その流行に左右されずに継続させるためには「顧客の変化」を想定した戦略が必要になるはずだ。

新規顧客になってくれた人の過去は様々である。他の製品に不満を抱いたから乗り換えた人もいれば、必要に迫られて目についたものを選んだ人もいる。同じ新規顧客でも新規顧客になるまでのプロセスは異なるのが普通だ。そして、それまでの過去によってこれから先に起こる未来は予想することができる。もちろん、正確な予測は不可能でも大体の傾向は分かるはずだ。

そのため、同じ新規顧客だからといって、同じ施策を実行するのではなく、「顧客の過去」によるセグメントも一つの選択肢として考えてみることもあるのではないだろうか。

参考文献:「経営戦略の思考法」

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