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カスタマージャーニーの2つの欠点を補うために競合のカスタマージャーニーと比較をしよう。

BtoBマーケティングに携わっているのであれば、カスタマージャーニーを知らない人はいないでしょう。カスタマージャーニーとは見込顧客から自社の顧客になるまでのプロセスのことを言いますが、一時このカスタマージャーニーを作成することが非常に流行りました。

非常に分かりやすくビジュアルで表現されたシートが美しいこともあり、多くの人が魅了され飛びついたのです。話はそれますが、どんな良いものでも見た目が悪ければその本来の良さを理解してもらえない一方で、大したこともないものでも見た目の美しさがあれば、それ本来の能力以上に人を惹きつけることが出来るのだなぁと感じたものです。実際、パッケージによって売上が左右されるわけで、見た目の美しさというのは重要な要素なのです。

しかし、その数年後はどうなったでしょうか?今でもカスタマージャーニー作成講座などが開かれているものの、カスタマージャーニーに対して大きな期待を抱いている人はほんの一握りになってしまいました。一体何があったのでしょうか?

カスタマージャーニーに取り組んだことがある人なら理解して頂けるかもしれませんが、カスタマージャーニーにはいくつかの欠点があります。今回はその欠点(2つ)についてご紹介し、どうすれば良いのかについてご提案させて頂きたいと思います。

まず、最初の欠点は「カスタマージャーニーを作成しても既に分かっていたことの繰り返しで新しい価値を生み出しにくい」という点です。このように感じる企業は、大体がBtoC企業やBtoB企業でもマーケティングをこれまで継続して実践してきた企業です。彼らからするとカスタマージャーニーのようなものはだいぶ以前から取り組んできているものであり、なんの新しさも感じられないのです。確かに分断されていたものを一つのシートにビジュアルで表現するという点においては新しいのですが、各ステップの詳細な点については十分に熟知しているし、ありとあらゆる施策を試行錯誤してきた経験があるのです。

そのため、知っていたことをまとめただけになってしまい、作ってもあまり意味なかったねで終わってしまうことが非常に多いのです。カスタマージャーニーから導き出される施策はこれまでやったことがあるか今でも継続的に取り組んでいることしか出てこないことにガッカリするわけです。もちろん、分断されていたものを一つにまとめることで新しいことが発見できることはあるにしても、それはほんの一部であり、多くの場合は上記に記載したようなことになることが多いのです。

しかし、一方でこれまでマーケティングに取り組んでこなかった企業にとっては役に立つことがあります。特にBtoB企業にはそう感じる人が多いと思います。なので、カスタマージャーニーはどんな企業にも有益ではないく、効果の出る企業とそうではない企業があることをよく知った上で実施するかどうかを判断するべきなのです。実際、カスタマージャーニーを活用するのはBtoB企業が圧倒的に多いのが現状です。カスタマージャーニーは、マーケティングのはじめの一歩としては非常に有益だと考えられます。

そして、カスタマージャーニーの欠点の2つ目は、「競合他社を考慮していないこと」が多いという点です。(全てとは言ってません)ご存知の通り多くのカスタマージャーニーには競合他社の項目がありません。ほとんどの場合、各ステージで顧客がどんなことを課題として認識していてどんなリソースに当たるのか?を記述していくだけです。各ステージでどんな競合製品があり、自社で十分に勝利する可能性が高いのか?などを考慮することはあまり多くありません。そのため、カスタマージャーニーを作成して、ここに重点を置くべきだ!と決めたのは良いけど、実際に施策を実践してみると競合他社にとてもじゃないけど勝てないところだったというオチになってしまうことがあるのです。

マーケティングの基本は、コストをかけても十分に回収が期待できるボリュームがあり、かつ、競合他社に勝つことが出来るセグメントを見つけてそこに集中して投資していくことです。しかし、一般的に言われているカスタマージャーニーを見ているとその視点が完全に欠落しており、十分な成果を出すことは難しいと思わざるを得ません。もちろん、カスタマージャーニーを作成する段階で、競合他社の話が出てくることはよくあることであり、そのような会話になることは正しいのですが、そのような会話ができるのはBtoC企業などマーケティングをこれまで実践してきた人たちであり、BtoB企業の初めてマーケティングをしています的な人にとってはそのようなことを考慮することは難しいのです。

そのため、私はこのようなお客様に対しては、「競合他社のカスタマージャーニーも作りましょう」と提案しています。自社のメンバーだけでカスタマージャーニーを作成していては、あまりにも狭い範囲でしか考えることが出来なくなり、有益なカスタマージャーニーを作成することは出来ません。しかし、競合他社のカスタマージャーニーを作成し、自社のカスタマージャーニーと見比べてみることで自社の強みと弱みが明確になり、どこに資源を投下するのが最も効果的なのかが見えてくるようになるのです。

つまり、各ステージで自社はどんな風に感じられ、競合他社はどうなのか?という視点を追加することでより精緻なマーケティング戦略を作成することができるようになるのです。このように考えることがまさにマーケティング「戦略」です。是非、一度取り組んでみてはいかがでしょうか?

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