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通信教育のデータを活用した新しいマーケティング戦略

通信教育にとって最も重要なのは合格率であったりテストの点数の向上である。そのために通信教育は教材を毎年より良いものにするための努力を重ねている。「説明の仕方」「教材の分量」などの中身ももちろんであるが、それ以外にも受講者のモチベーションを上げるための施策にも力を入れている。進研ゼミであれば学期始めに届く「マンガ」が良い例である。あのマンガによって今度こそ勉強を頑張ろうと強く決意する生徒は多くいるだろう。

実は、通信教育を受講しているほとんどの人は、こんなマンガによって助けられながらなんとか合格したりテストの点数が向上していく人たちばかりである。教材を隅々まで読み込み徹底活用する人はほとんどいない。だから、通信教育の受講開始後のマーケティングの仕事はいかに受講者のやる気を奮い立たせるかにかかっている。

最近、通信教育の「ユーキャン」がタブレット端末で利用できるデジタル教材を「宅地建物取引士」の資格講座で提供を開始した。あえてデジタル化した理由をユーキャンの担当者は、受講者のデータ分析のためと言っている。これまでの紙での教材では、受講者が毎日テキストを開いているのか、一回の学習でどのくらい進むのかというデータは取得することが出来なかった。それらデータを取得することで新たな課題を見つけ対策を取ることが出来るという。

デジタル教材にすることで、その人の心地よい学習スピードや1回の学習分量を把握することが出来る。例えば、「1週間に1回程度の学習スピード」でかつ「1回の学習量が5ページ程度」であることが分かれば、その受講者に適した教材を用意することが可能になる。また、いつモチベーションが落ちているのかということもわかる。だから、その人のペースが落ちているようであれば、そのタイミングでモチベーションを上げるためのコンテンツを送るなどの対策をすることで一人ひとりにとって最も効果的な学習サポートをすることが可能になる。

さらに、このようなデータが蓄積すれば受講開始直後から適切なアプローチをすることが出来る。例えば、一回の学習分量が「少ない人」と「多い人」は通信教育を選ぶ段階でも検討する情報量が違うのではないかという仮説を設定する。そして、1回の学習量が少ない人と多い人の「検討段階でのページ閲覧数の違い」を見比べるのである。もし、学習分量が少ない人は、検討段階でもページ閲覧数が少なく、学習分量が多い人は、検討段階でもページ閲覧数が多いという結果が出れば、検討段階での閲覧ページ数によって最初から教材を最適化することが出来るのである。ただ、有効なのは通信教育を辞める時期が比較的早い段階に集中している講座に限られるだろう。比較的多くの人が続けることが出来ている講座でそんな施策をしても意味がないからである。

また、これら受講者のデータを受講時だけでなく検討時のデータも活用することで顧客獲得にも貢献する。例えば、受講者のデータをパブリックDMPと連携させることで受講する確率の高い人だけに広告配信をしたり、受講する確率の高いクリエイティブを当てることが出来たりするようになる。

通信教育の現場でデジタル教材の活用は始まったばかりではあるが、蓄積したデータを活用することが出来れば様々な施策へと転化させることが出来る非常に面白い分野である。

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