ChatGPTは今後、より世間一般の人にも広まっていくと思われる。これだけ簡単に精度の高い返答をもらえることはこれまでになかったからだ。
しかし、ChatGPTを仕事上でも使っていて感じたことは「AIと同等もしくはAI以上に知識を持っていなければChatGPTを上手く使いこなすことは出来ない」だろうということである。
どういうことかというと、ChatGPTは決して正しい答えを返しているわけではないからだ。
ChatGPTは、前の言葉に続きそうな言葉を返しているだけである。例えば、「昔々あるところに…」という言葉の次につながる言葉は「お爺さんとお婆さんがいました」という言葉である可能性が高いのでChatGPTはそのような言葉を返している。ChatGPTはネット情報(2021年まで)を持っているが、それら情報を分析し質問の文章から、次の言葉としてつながる可能性の高い単語や文章を返しているに過ぎない。
だから、ネット上では「ChatGPTが嘘をつく」という表現で言われていることが多いが、実際にはそうではない。ChatGPTが持っているネット情報を分析する限りでは、その回答が最も次につながる言葉なだけであり、正解かどうかを判断しているのではないのだ。もし、ネット上に間違った言葉がたくさん存在しているのであれば、ChatGPTはその通りに返すだけだ。
このような特性を持つChatGPTを上手く使いこなすためには、操作する人間に十分な知識が必要になる。
以前、ChatGPTを使っていてこんなことがあった。
Salesforceの設定である設定をするための手順を聞いたところ、Apexを書く方法を返してきたのである。多少の経験のある人であればApexを書く必要もなく5分もかからない設定で達成できることをあえて難易度の高いApexを記述することを推奨したのである。私が予想していた回答とは全く違う内容のため、そんなはずはないと思い、「設定で可能ではないですか?」と聞いたところ、「そうです。その通りです。」と言って、本来意図した内容がやっと返ってきたのである。
このようにChatGPTは、ありそうな回答を返すだけである。より簡単な方法をこちらの意図を汲んで返してはくれない。
だから、ChatGPTに騙される人も今後増加していくであろうと予想できるのだ。Salesforce設定に関する知識がある人であれば、ChatGPTの回答がおかしいことにすぐに気づくことが出来るが、知識のない人にとってはChatGPTの回答が全てである。だから、その回答が正しいと思いたくなるし、そう思ってしまう人が増えることは間違いない。そうすると、その方向で解決策を模索するようになり効率的になるはずが遠回りを強いられることになる。
これが「AIと同等もしくはAI以上に知識を持っていなければChatGPTを上手く使いこなすことは出来ない」とする理由である。AIの回答におかしいと気付けなれば、これまでよりも非効率的になってしまったり、間違った考え方や偏った知識のままに生きていくことになってしまうかもしれない。
AIは「あくまで人間をサポートするものであり、人間が頼るものではない」ということを強く認識すべきだろう。
ChatGPTの特性を知り、利用する場面を考慮し自分たちの仕事や私生活にどう活用し、どう自分たちの行動を変えるのかを考えなければ思わぬ罠にハマってしまう可能性があるのだ。
ちなみに、個人的にはChatGPTの特性や使い方を説明した下記の記事と動画が非常に参考になった。
ぜひ、見ていただければと思う。