驚くべき脳の仕組みとマーケティングへの活用

マーケティング

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先日、ナショナルジオグラフィックの番組を見た。内容は脳の仕組みについて。これが面白かった。人がいかに物事を見ていないか。いや、人がいかに物事に集中しているのかということがよく分かった。脳は意識的にあることを認識しようとするとき、それに関する情報のみを脳の中に取り入れてそれを分析する。それは何か。どんな状態か。知っているものかを判断しようとする。しかし、何かを見ているとき、見たいものの他にも視界の中には色々なものが映っている。しかし、人間の脳はそれを分析しようとはせずに情報をシャットダウンしてしまうのだ。

こんな実験があった。縄跳びをする男女がいてその縄跳びを何回成功するかを数えて欲しいと頼まれる。すると、その時の人間の脳にはその回数を数えるために必要な人間しか脳の中には反映されない。たとえ、縄跳びをしているすぐ後ろにクマの着ぐるみを着た人間が何度も行き来していても数えている本人には全く映っていないのである。

人間は本能的にそのような能力がある。何かを見て何かを見ないという能力である。それがあるおかげで人間はその集中すべきことに集中することが出来る。だからこそ、何か目的を達成することが出来る。もし、人間が目に見えるものすべてを脳が判断しようとしてしまうと人間は何も見ていないような状態になってしまう。例えば、劇場でスポットライトを浴びている一人の男性を見ているときはその男性がどんな服装でどんな顔をしているのかが分かる。しかし、スポットライトを浴びているのが横一列にならんだ男性10人である場合、10人とも詳細を理解しようとするのは無理なのだ。出来るのは、一番端から順番にそれぞれの詳細を見ていくことしかないのである。同時にいくつものことを処理できないのが人間なのである。

これはマーケティングにおいても重要な示唆を与えてくれる。どんなに私たちが自分たちの商品・サービスを見てもらおうとしても人々の目には何も映っていないという事である。映っているのは、その個人が見ようとしているものや興味があるものだけなのだ。どんなに我々が頑張っても相手は絶対に気付いてくれない。なぜなら、脳の性質がそうなっているからだ。見ようとしているもの以外は脳で判断する前にシャットアウトされているのだ。事実、興味あるもの以外の情報はシナプスとしての電気信号が発生していないのだ。興味あるものだけを脳まで到達させてそれを判断しようとする性質が人間にはあるのだ。

こういうと多くのマーケターは絶望する。しかし、それはまだ早い。人々が興味あるものであれば詳細に見るという特性があるからだ。あなたの製品は本質的には多くの人たちにとって必要とされていないモノかもしれない。しかし、あなたの製品・サービスを人々が興味があるものかもしれないと思わせることが出来る可能性がある限り、マーケターは挑戦する意味がある。ある炭酸飲料を青春と掛け合わせることで高校生や中学生に売り込もうとする戦略と同じである。何らかのイメージを製品・サービスに与えることでターゲットとする人々が興味あるものとして見てもらえるようにする戦略である。

だから、我々マーケターは、人々が今何に興味を持っているのかについて知らなければならない。どんなことになら、興味を持って見てくれるのかについて知っていなければならない。そうしなければ、その他多数の興味のないものとして脳のシナプスは働かないからである。マーケターは、必ずや人々の脳の奥底まで到達できるようなメッセージを創り上げなければならない。そのためには、ターゲットを知ること以外に重要なことはないのである。

これは海外進出においても言えることである。国民が違えば人々が判断する興味ありなしの基準は違う。日本人にとっては興味あるものとして捉えられたものが海外では興味なしとしてシナプスの電気信号を発生させてくれないという事態になる。そう、ココでも同じなのだ。マーケティングはどの国に行っても基本はやることは一緒である。その人々をとことん知り尽くすことなのである。それが最も重要な事なのである。